あれから1週間が経った。
「キャットナップ・・・もう、お別れだね… 」
クララが寂しそうにキャットナップに声をかける。他の子たちもクララが里親のところへ行ってしまうのが嫌らしい。
キャットナップは、うなづく気もなかった。クララがいなくなる。今までたくさんいっしょにこの場所で遊んだことも、忘れてしまったら。自分は生きる力もなくなるだろう。
それぐらいクララと離ればなれになるのが嫌だ。
「クララ、あなたにはこのキャットナップのぬいぐるみをあげるわ。これで寂しくないでしょう?いつでもあなたのそば、いや、中にはキャットナップがいるんだもの」
「うん・・・そう、だよね」
それでもクララは元気がなさそうだった。
「キャットナップ」
「・・・?」
「前も言ったかもしれないけど、私のこと、忘れないでくれるよね・・・?」
キャットナップはうなづくか悩んだ。もし、ここでうなづかなかったら、クララが安心して行けなくなってしまう。そう考えると、やはり自分の考えに逆らうしか方法がないのだろうか。
それでもいいんだ。クララが安心して里親のもとに行ければ。
「コクリ・・」
クララの顔が明るくなった。
「キャットナップ!ありがとう!私も忘れないよ・・・」
そして、何人かの職員がクララをある部屋にいかせる。
そう。これでいいんだ。里親もきっと優しい人のはず。クララには運がある。
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いや、絶対にならない。
キャットナップは願った。
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