この国には「世界最凶の悪人」が存在する。
人を殺めることを趣味とし、拷問や人体実験を罪のない人間に行う…
まさに、最低最悪の人物。
…──それが俺。
というか、“作られた”俺。
この国は非常に悪賢い。
世間裏で行われる悪事を誤魔化すため。
標的を国に当てないため。
言えば、俺は「身代わりの的」であり、「ヴィラン」に過ぎないのだ。
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トイフェル・シャオロン。14歳。
国の王子であり、ヴィランである。
そんな俺は現在幽閉されている。
もちろん生まれた時から。
だから、俺は外の世界を知らない。
Mob「シャオロン様」
「お食事の時間でございます」
Sha「 ………」
ピッ
Mob「はい」
「………はい、…え?」
………
ケイタイで誰かと話しているメイドが何やら焦り始める。
あたふたと手を動かして。
Mob「はい、はい…わ、分かりました」
勢いよく扉を閉められる。
──その瞬間、恐ろしく大きな音が聞こえた。
何かが落とされている、そんな音。
その音と共に人々の悲鳴のようなもとも聞こえた。
一体何が起こってるの…?
恐ろしくて恐ろしくて、耳を塞いで丸まった。
──しばらくすると音は止まった。
一体なんだったんだと思いつつも立ち上がると、再び扉が開く。
Mob「……シャオロン様」
メイドは暗い表情で、何もかも失ったような無機質な声で話す。
Sha「何かあったの?」
Mob「早く来てください…!早く!」
Sha「えっ」
ガシッと腕を捕まれ走る。
この扉を出たのは人生で初めてだ。
一体何が何だか分からないまま階段を下る。
Mob「あぁ、私はこうすればいいの…?」
メイドは一生意味わからないこと言ってるし…
と、考えていると外に出た。
Sha「……!」
俺の想像していた外と違った。
俺が本で読む外は綺麗な晴天で、緑の芝が生えていて、色とりどりな世界だ。
…それが、目の前にある外は灰色の空に荒れ果てた地面。
父「あぁ、シャオロン!」
Sha「なん、ですか…」
俺の父であり、国王。
俺の大嫌いなヒト。
以前は生き生きとした表情だったものの、今では真っ青になって縋るように喋りかけてくる。
?「お前がシャオロンか?」
Sha「え……」
金髪に赤い目をした男がこちらへ向かいながら問う。
なんで俺の名前……
父「こいつを差し出しますので…!どうか…私の命は助けてください!」
「こいつは一応王子です!私の息子ですから…!お願いします!」
?「……」
「ごちゃごちゃ言ってないで、そいつを差し出せ」
父「は、はい…」
一瞬で悟った。
父の国は“戦争で負けた”のだと。
ドンッと背中を押されなどの男に抱かれる。
──まるで何かを見せたくないみたいに。
──なにか、大きな音がした。
鈍い音だ。銃声だろう。
…ということは……
?「…お前のことを助けるとは言ってないやろ」
吐き捨てるように呟く男。
どうすればいいか分からなくて、ただただじっとしておくことにする。
?「行くぞ。」
されるがままに馬車へ乗り込んだ。
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プリ小説で同じような小説を出してるんですけど、同一人物です!
(因幡りとというアカウントです)
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