「……イギリスさん…♡ 」
ああ……
その瞳がまた紳士の心を侵していく。
貴方はいったいどれほど私の理性を壊せば気が済むんです?
そんなことを考えながらお互いの唇を重ねる。
彼の口いっぱいに舌をねじ込んで、混じきった唾液をさらに掻き回して……
言葉にできない快感に浸っている。
時折彼にとって心地よいところに舌が当たってピクリと小さな舌が小刻みに震える。
「ぷは……ふふ♡」
「……はぁはぁ♡」
「どうですか?」
「気持ちいいです♡」
これはそのまま踏み出しても構わないように感じた。
彼もそれを望んでいるはず……
イヤらしくワイシャツの間に手を入れ腰へとまわす。
が、反応は違った。
「!」
「あはは……そ、それはまた別の日に…」
なぜ?
どこに拒む理由が?
見られることもないのに…
深い憤りに襲われた。
怒りと同時に交わせない焦れったさとやるせなさにさいなまれた。
気がつけば日本を壁に追いやり逃げられないようにしていた。
「イギリス……さん?」
[ガブッ♡]
「うあ?!いたいぃ!!」
「………」
「離して!イギリスさん!!!」
「………
私を押し退けようとした彼の頬を叩いた。
そこでハっとした。
かける言葉が思い付かない。
「に、日本さ……」
寄ろうとした時近くにあった食事用のナイフで切られそうになった。
「近づかないで!!」
泣いていた。
こんなことをされたショックなのか、無理やりされた怒りなのかわからなかった。
さらなる怒りが身体を通った。
今の私は感情に支配されっぱなしだった。
私の釈明を聞いてくれない彼への怒り、交わせないことに対するやるせなさ、申し訳ないという謝罪。
もうぐちゃぐちゃだった。
しかしどうすれば良いか分からない。
分からなかった……
そんな勝手な感情を患いながら彼に歩み寄った。
ナイフを奪い彼を壁に押さえつけ、ベルトをほどきズボンを脱がした。
「いやだ!!」
“あああああぁぁ………!!!!!!”
してはいけないこととはわかっていた。
罪悪感に押し潰されそうだ。
殺人犯を見たような表情で足を走らせた彼がいなくなった部屋はとても静かだった。
私は重症だ。
一人で頭を抱えながらうなだれていた。
にやけながら……
あの”行為”を気持ちよく感じてしまったのだ