💛照side
💛よしみんな、始めるよー
前回の収録以来、初めてメンバー全員が揃ってのダンスレッスンの日を迎えていた。
今回の新曲は自分が振りを付けた。
テンポが速くエネルギッシュで、かなり高難易度な振り付けのためメンバーには集中するようにと伝える。
それにもかかわらず、なんとなく注意力散漫なメンバーがいた。
翔太と舘さん。
翔太は顔に出るので集中していないのがよくわかる。舘さんは表情にこそ出さないが、いつもの真剣な覇気が感じられない。
そして、時間が経つにつれ、その二人を気にして動きが悪くなっているメンバーがいた。
目黒と阿部だ。
なんだよ、あいつらまた…
💜照、そろそろ休憩しようぜ〜
ふっかがその4人の様子に気づいてか気づかずか休憩を申し出た。
仕方なく一旦休憩することにする。
💛じゃあ、10分だけ休憩!
🤍康二くん、ジュース買って〜
🧡はいは〜い。って、なんでやねん!!
🩷あ、俺も買ってこよ〜。喉乾いた〜!
康二とラウールと佐久間が揃ってレッスン室を出て行く。
ちょうどいい。
💛おい、お前ら、集中しろ。
🖤💚…ごめんなさい🙇♂️🙇♂️
目黒と阿部は素直に謝る。
どうやら二人とも心当たりがあるらしい。
一方で翔太と舘さんはこちらを見るが返事をしない。
💛舘さんと翔太も。全員揃う時間はあんまり取れないんだからちゃんとやって。
名指しで念を押して、二人はやっと返事をする。
まったく…何があったんだか。
俺は大きくため息をついた。
休憩を終え、各自に振りを付け終わったところで一度頭から通して踊ってみることにする。
俺たちSnowManの曲は9人のメンバーが複雑に入り乱れて踊る。今回の曲のフォーメーションは入れ違いに交差する箇所も多い。いい加減に踊ると事故になりかねない。
そう思った瞬間だった。
ゴツンッッッ!
かなり大きな音がして、誰かが倒れた。
驚いて振り返ると床に阿部が倒れている。
翔太が後ろをよく確認せずに思い切りターンしたところで阿部と強く衝突してしまったようだ。
💚いた……っ!
💙……っっ!
💛大丈夫か!?
曲が止まる。
一斉に阿部のもとにみんなが駆け寄る。
すぐ隣りにいた康二が慌てて助け起こそうとするが、どうやら一人では起き上がれないようだった。
💚いっ…つ…
阿部は顔をしかめている。
💛頭を打ってるかもしれない!無理に起こすな!
俺は阿部に寄り、肩を支えた。
💛どこが痛い?
💚…足が一番痛い…。結構捻っちゃったかも…。
🩷かなり腫れてるね…
佐久間が裾をまくり足首を見て言う。
💛とにかく病院に連れて行こう。骨までいってるかもしれない。
俺はそう言って阿部を運ぼうとした。
するとそこへ舘さんが強引に割り込んで来た。
❤️俺が連れて行く。
舘さんは軽々と阿部を抱えて持ち上げ、そのまま颯爽とレッスン室を出て行ってしまった。
💛あ、おい!!病院から連絡しろよ!!!
目にも止まらない舘さんの一連の素早い行動にラウールと康二が見とれている。
🧡ええなあ、舘様、さすがロイヤル!
🤍阿部ちゃんなんだかお姫様みたいだったね笑笑
きゃっきゃと2人がはしゃぎ出す。
💛お前ら、笑い事じゃないぞ!!
🧡🤍あ…ごめんなさい🙇♂️🙇♂️
阿部を転倒させた張本人である翔太は、舘さんの素早い対応についていけず、呆然とその場に立ち尽くしたままだ。
目黒がそんな翔太に優しく声を掛けている。
🖤大丈夫だよ。後でちゃんと謝ろう?
💙……
🩷大きな怪我じゃないといいね…。
佐久間が誰に言うとはなしに言う。
みんなの思いは同じだ。
メンバーが2人欠けたのもあり、結局その日のレッスンはそのままお開きになった。
俺は更衣室で着替えを済ませ、レッスン室のイスに座って舘さんからの連絡を待っていた。
そこへふっかがやってきた。
💜照
💛みんなは?
💜もう帰った。
💛そうか。
💜舘から連絡は?
💛まだ来てない
💜そっか…
💛まいったな
誰に言うとでもなく、俺がつぶやくと、ふっかが実はさ…と話を切り出した。
💜あいつらのことで照に話しておきたいことがあって。
💛…?
💛阿部ちゃんと舘さんが?
💜うん、付き合ってるみたいなんだよね
💛誰から聞いたの?
💜阿部本人から
💛へ?
💜俺、この間相談されたんだよ。照に話した方がいいかって。
💛……
💜で、今日、練習の後、本当なら阿部が直接照の所に言いに行くはずだったんだけど…
💛だからか
💜うん、だからなんとなくみんな落ち着いてなかったんだよね
💛翔太があんな調子なのもそのせいなんだな?
💜たぶんね……
俺はふっかと頭を抱えた。
個人のプライベートに立ち入るつもりはないが、仕事に影響するなら無視することはできない。
💛これは翔太と話さなきゃだめだな…
ふっかは黙って頷いた。
幸い、阿部の怪我は骨までは達していなかったが、かなり強く足を捻っているため、2週間はダンスは避けた方がいいとの医師の判断だった。
幸い今回は練習時間を長めに取っていたので、阿部の怪我が治り次第、急ピッチに準備を進めればなんとかなりそうだ。
とりあえずは一安心。
問題は翔太とどう話すかだ。
するとふっかは、自分に翔太を任せるよう立候補してきた。
💜俺が話した方がいいと思う。
なにか考えがあるのだろう。
俺はふっかに任せることにした。
💛…わかった、頼む。話したら後で連絡してくれ。
💜辰哉side
ここは事務所の一室。
俺はなべを呼び出して話すことにした。
現れたなべは少し緊張した面持ちで、大人しく対面に座っている。
どうやら照から俺と話せときつく命じられたようだ。
俺は単刀直入にきく。
💜なべ、、何があった?
💙阿部ちゃんのことはほんっとに悪かった…
言うなり、なべは俺に頭を下げる。
あの日からずっと落ち込んでいるのが伝わってきていた。表情も硬い。
💙俺、ちょっと涼太にイラついてて…
💜どうして?
💙言えない
💜阿部ちゃんと舘とのことなら聞いたよ
💙え…?
💜それで何で舘にイラつくの?
💙……言いたくない
💜なべ、答えて。
俺はなべを促す。
怪我人まで出ているのにまだ気持ちを隠していたら決して前には進めない。
人間関係は今後も仕事に影響する。
なべにもそれはわかるようで、しぶしぶ言葉にし始めた。
💙…嫌だったんだよ
💜なにが?
💙涼太が阿部ちゃんと付き合ってるって知って…
💜なんで?
💙だってそんなことになると思わないじゃん
💜何が?
💙涼太と阿部ちゃんが付き合うなんて…
💜二人の人間がそこにいて、想いが通じ合ったら恋することもあると思うけどな俺は。
💙涼太に限ってそんなの……!
と、言いかけて、なべはハッとしたように俺を見た。
思ったとおりだ、と俺は確信した。
なべは舘なしじゃダメなんだってこと。
そしてそのことになべは今まで全く無自覚だったってこと。
いざ舘を失うかもという局面になって初めて、なべは己の恋心に気づいたのだった。
💜ちゃんと舘と話したら?
💙でも…涼太にはもう…
💜自分に向き合って、ちゃんとフラれて来い
💙……
なべは何か考え込んでいたようだが、
💙わかった
と、言った。
その強い目にもう迷いはなかった。
本当に、世話が焼けるやつらだと思った。
コメント
4件
しょっぴー頑張れ👍
ふっかさぁん…照にぃ…