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完結お疲れ様です!!更新するたびに楽しく拝見させていただきました。終わってしまうのはとても心寂しいですが大満足でもあります!また、他の🖤💚の作品を書いていただけたら幸いです!これからも応援し続けます!!
初コメ失礼します! 私は初めてテラーで物語を拝見したのがこの作品でした。読んでいくうちにどんどん沼っていきました。終わってしまって残念です😨 そんな作品を作れる三文小説さんはすごいです‼️ そして私は、この作品に出会って、毎日楽しかったです😆三文小説さんには感謝しかありません‼️ これからの作品も楽しみにしていますし、これからもずっと応援し続けます(^-^) 思いが溢れすぎました😅
いやいや、こんなすごいお話を書けるのすごいです、! 次のお話も楽しみです、!
よく晴れた七月の空の下。
引いては返す、静かなさざなみの音が、耳に心地良い。
地を踏み締めるたびに、サンダルの中に入り込んでくる砂がサラサラと足に触れる。
ついさっき立ち寄った雑貨屋さんで買った小瓶に、陽光で温まったその粒子と小さな貝殻を入れて栓をした。
隣で横歩きをする蟹に夢中になっていた俺の恋人は、太陽にかざしたそのガラスを見上げて「綺麗だね」と言ってくれた。
「うん、今日の思い出。テレビの前に飾ろうかな」
「わ、それいいね」
「ふふ。…ありがとう」
「ん?」
「また一緒にここに来られて嬉しい」
一年前、初めてここに連れてきてもらった日が、もう随分と遠い昔のことのようにも思えた。
あの日と同じように、辺りには俺たち以外に誰もいない。
最後に見た時となにも変わっていないあの流木の上に、二人で腰掛けた。
延々と続く水平線を眺めながら、その温かい肩に頭を預ければ、大きな手が俺の指を攫って絡め取る。
緩く繋いだその温度が、柔らかい気持ちを次々に運んできてくれた。
いつまでも、君の隣でこの海を見ていたい。
自分がこんなにも、自信を持って彼への気持ちを抱くことができるようになったことに、一種の感動を覚える。
「俺でいいのかな」
「蓮くんがそばにいてくれる限り」
「迷惑じゃないかな、困らせてないかな」
つい出てしまう癖のように、いつだって俺はそんな不安と戸惑いばかりを抱いてい たのにな。
時を重ねて、心を触れ合わせるたびに、俺の気持ちは確かなものになっていった。
それは、いつだって、どこにいたって、まっすぐに俺を愛してくれる彼がすぐそばにいてくれるから。
どんな時も、なにがあっても、俺だけを見つめて大切に想ってくれるから。
「また来ようよ。俺たちがおじいちゃんになっても、一緒に杖とかつきながらさ」
俺の気持ちは口から出てしまっていたのだろうか。
ありふれた俺の願いに気付いてくれたかのようなその声に、なんとも言えない嬉しさがとめどなく溢れた。
込み上げる気持ちはうまく言葉にできなくて、俺は彼の肩に預けていた頭をその大きな胸に埋めた。
それぞれの心に詰まってしまって言い表せない想いが、背中に回された彼の手のひらと、彼の胸にくっつけた俺の額とを伝って流れ込んでいくような気がした。
「ッくしゅっ…」
「ふは、可愛い。寒くなってきたね、帰ろうか」
海風に冷えた俺の体を一度ぎゅっと抱き締めてから、彼は立ち上がった。
俺は差し出してくれたその手を取って、一緒に歩き出した。
歩幅を合わせて。
ゆっくりと、俺たちの速度で。
たまに顔を見合わせては微笑みあって。
帰路に向かって走っていく車の中で、繋いでくれた彼の左手に輝く白金色の輪。
その上に重ねた俺の左手にも同じ色。
ずっと俺の心に一番近い場所にいると誓ってくれたその印に、俺も同じ気持ちだと交わした約束は、この指輪と同じようにきっと永遠に錆び付かない。
ずっとそばにいたい。
二人でどんな時も笑い合っていたい。
こんな毎日がずっと続きますように。
そう祈りながら、俺は助手席の窓を開けた。
「風が気持ちいいね、蓮」
お迎えダーリン、戸惑いハニー
END
少しだけご挨拶
改めまして、三文小説と申します。
ふっと浮かんだ思い付きが、まさかここまで大きな話になるとは思ってもいませんでした。
「芸能人と一般人がどこかで出会う世界線があったら面白いだろうなぁ」なんて全くの無計画から始まったこのお話。
5話くらいでまとめられたらいいなぁ、と確かに思っていたはずでした。
オーナーを登場させた辺りから予定は大幅に変わり、気付けば全員集合していました。番外編まで同時進行しているような、そんな混沌とした三文の世界にお付き合いいただいた皆様、本当にありがとうございました。
当初の予定から6倍の話数まで書き上げることができたのは、ひとえに皆様の温かい目があってのことに他なりません。
本編とそれぞれの番外編の数も入れると、全部で60話。
彼らの時間は行ったり来たりしていて、分かりづらい部分も、読みづらい表現も多数あったかもしれません。
基本的に三文は話が長いので、読んでいただくにあたって、相当なご負担もあったのではないかと、書き終えてからそんなふうに振り返っては、申し訳なくなる気持ちでいっぱいです。
たくさんのハートを押してくださった方々、感想を送ってくださった方々、本当にありがとうございました。皆様のお陰様で、この九人の物語を結びきることができました。
「作品に作者の言葉や感想は必要ない。読んでくださった方々が受け取ったままに何かを感じていただけたらそれで良い」というのは、三文が一丁前に掲げる偉そうな持論でございます。
ただ、今回ばかりは感謝と申し訳なささを込めてご挨拶をしたく、少し前に出させていただきました。
結局長くなっておりますが、改めて皆様へこの場をお借りして御礼申し上げます。
少しでも、皆様の心に何かを残せていたら、それが何よりの幸せです。
また別の世界でお会いしましょう。
三文小説