テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
特に会話があるわけでもなく、それぞれ適当に画面を眺めて、同じ空間にいるだけの時間。
仁人が、ほんとうに何の前触れもなく、
自分の頬を指でなぞりながら口を開く。
「ねえ」
「ん?」
「ほくろってさ、前世で人にキスされたところにできるっていうじゃん?」
「あー、なんか聞いたことあるわ」
仁人は表情も変えずに続ける。
「だからさ」
「勇斗は前世でも俺の顔にキスしてたんだね」
……
……???
おい。
今この子なんて言った?
一瞬、脳が理解を拒否した。
聞き間違いかと思って、頭の中で再生し直す。
前世でも
俺が
仁人の顔に
キスしまくってた。
どう考えてもやばすぎる…。
「……ちょ、ちょっと待って」
「なに?」
「今の発言、破壊力やばいって自覚ある?」
「んー」
首を傾げて言う「んー」が追撃だった。かわいすぎる、こいつ。
かわいすぎる。
無防備すぎる。
なんでそんな顔でそんなこと言えるの?
勇斗は思わず顔を覆って、ソファの背に体重を預ける。
「……うわ、おまえさぁ、ほんとに……」
「は?」
「仁人が無意識なのが一番やべーから」
心臓に悪い。ほんとにいずれ発作でも出てしまいそうだ。
自覚ありより、数倍タチが悪い。
そう言ってから顔を上げて、あからさまに「これからふざけるぞお!」みたいな顔をして仁人を見つめる勇斗。
「えー……ちょおまえさあ」
警戒する間もなく、勇斗はぐっと距離を詰める。
ソファの背もたれがあるから、逃げるに逃げれない仁人。
「ちゅーしていい?」
「は?」
「ちゅーしまくって仁人の来世、唇ほくろだらけにしていい?」
正直、もう来世の仁人は唇黒子だらけだなぁ、とか思っていた。
「ちょ、いや、だ、だから何言ってんの?」
「話飛びすぎだから!!」
「いや、話振ってきたのお前だろ?!!」
「意味わかんないし!」
口では強く言ってるのに、
仁人の耳は正直で、じわじわ赤くなっていく。
それを見た瞬間、勇斗の中の悪戯心が勝利した感じがして身を引く。
「な?」
「な、じゃねえよ、うざ」
「人困らせること言うからだよ、お返し」
「は?俺悪くないんだけど!」
ぷいっと視線を逸らす仁人。
それすら可愛い。
沈黙が落ちて、この話題はそのまま終わるかと思った、その時。
「……まあ一個くらいならいいか」
「え?」
「ほくろ」
勇斗は一瞬止まった次の瞬間、満面の笑みになった。
「……もー、仁人さ」
「なに」
「そういうとこなんだよな〜、大好き」
「だからなんなんだよ!」
返事の代わりに、軽く唇に触れるだけのキスをする勇斗。
離れたあと、
勇斗は小さく笑った。
「仁人の来世のほくろ楽しみだわ」
「ふふっ、さいてー」
そんなことを言いながらも、仁人はニヤニヤしながらたまスマホをいじり始めた。
コメント
1件
