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7,022
レンはダイスケの手を掴み、離さない。
だが、触れているはずなのに感覚が不安定。
存在が揺れている。
🖤ダイスケ…!
目の前にいるのに、遠い。
ダイスケの歌が、空間を裂く。
床が消える。
足場が不安定になる。
レンは踏みとどまる。
それでも手は離さない。
ラウールは少し離れた位置で、それを見ている。
静かに、観察するように。
だがその目は、完全に冷静ではない。
🤍…ここまでか
小さく呟く。
世界の歪みを見て、計算している。
そして理解する。
🤍このままでは…
その先は言わない。
ダイスケの声が震える。
歌が乱れる。
感情が溢れる。
制御できていない。
レンが強く言う。
🖤戻れ!
ダイスケは答えない。
いや、答えられない。
自分でも止められない。
世界が悲鳴を上げる。
海が逆流する。
山が崩れる。
空が裂ける。
昼と夜が混ざる。
世界が、“形を保てなくなる”。
人々はただ、見上げることしかできない。
理解できない。
ただ、恐怖だけが広がる。
タツヤが呟く。
💜…時間がない
ヒカルが剣を握る。
💛行くぞ
タツヤが頷く。
崩壊の中心へ二人は走る。
すべてを託すために。
世界が軋んでいる。
空間は裂け、光は乱れ、音は形を失っている。
その中心で、ダイスケは立っている。
だが、立っているだけで精一杯だ。
呼吸は乱れ、視界は滲み、自分がどこにいるのかすら曖昧になる。
歌は止まらない。
止められない。
感情が溢れるたび、世界が壊れる。
🖤…やめろ…
レンが叫ぶ。
すぐ目の前で、手を伸ばしている。
届いているはずなのに、どこか遠い。
🖤ダイスケ!
必死に何度も呼ぶ。
その声だけが、現実に繋ぎ止めている。
ダイスケの指が、わずかに動く。
レンの手を、握り返す。
弱く不安定に。
🩷…れん…
掠れた声。
その瞬間、歌が揺らぐ。
世界の崩壊が、ほんのわずか止まる。
ラウールがそれを見る。
静かに確信する。
🤍…そういうことか
低く呟く。
すべてを理解したように。
ダイスケの力。
その本質。
そして、欠けていたもの。
ゆっくりと口を開く。
🤍君は“何のために歌う”?
静かに問いかける。
核心を突く言葉にダイスケの呼吸が止まる。
問いが、深く刺さる。
🩷(何のために…)
今まで、考えたことがなかった。
ただ歌っていた。
ただ求められていた。
ラウールが続ける。
🤍世界のためか、正しさのためか
一歩、近づく。
🤍それとも―
視線を落とす。
レンへ。
🤍この一人のためか
空気が止まる。
レンの目が見開く。
ダイスケの心臓が大きく鳴る。
🩷(…一人…)
その言葉が、すべてを止める。
ラウールの声が落ちる。
🤍選んで
短く。
🤍君の歌は 世界を壊すことも、守ることもできる
沈黙。
崩壊の音だけが響く。
ダイスケの中で、何かが揺れる。
記憶が蘇る。
湖。
差し出された手。
笑った顔。
🖤大丈夫だ
あの言葉。
何度も、何度も、レンが言う。
今も。
🖤ダイスケ
強く、でも優しく。
🖤戻れ
命令じゃない。
願い。
信じている声。
ダイスケの目から涙が溢れる。
🩷…俺は…
声が震える。
でも逃げない。
🩷世界なんて…
言葉が詰まる。
でも、続ける。
🩷分からない
正直に。
ラウールは何も言わない。
ただ聞く。
ダイスケは続ける。
🩷正しいとかも…
首を振る。
🩷分からない
でも、次の言葉は、迷わない。
🩷でも
レンの手を握る。
今度はしっかりと。
🩷守りたいものは分かる
その瞬間―歌が変わる。
暴走していた音が“意味”を持つ。
空間の歪みが、わずかに整い始める。
タツヤが遠くで叫ぶ。
💜…来た、制御が…!
ヒカルが顔を上げる。
💛やっとか
ダイスケが目を閉じる。
そして初めて、自分の意思で歌う。
静かに。
だが、強く。
世界に向けてではない。
誰か一人に向けて。
レンに。
その瞬間―崩壊が止まる。
完全ではない。
だが明確に、流れが変わる。
裂けていた空間が、ゆっくりと繋がる。
崩れていた構造が、再び形を取り戻す。
ラウールがそれを見る。
目を細める。
そして、小さく笑う。
🤍…それが答えか
敗北を認める声。
だが、どこか満足している。
🤍不完全な選択だ
静かに言う。
🤍でも…
一拍。
🤍美しい
ダイスケは歌い続ける。
涙を流しながら。
それでも、止めない。
その時タツヤの頭に、一節が蘇る。
禁書。
誰も解読できなかった最後の部分。
だが今、理解できる。
💜…そういうことか
震える声で呟く。
そして、口にする。
「歌は、愛する者のために歌うとき―世界を守る」
ヒカルがそれを聞く。
小さく笑う。
💛シンプルだな
タツヤが頷く。
💜でもそれが本質だ
塔の中枢。
光が収束していく。
崩壊は止まり、世界は“戻ろうとしている”。
ダイスケの歌が、それを導く。
レンはその手を握ったまま離さない。
ラウールは背を向ける。
もう介入しない。
その役目は終わった。
🤍…君は正しかったのかもしれないね
小さく呟く。
誰にでもなく。
ダイスケの歌が響く。
今度は 壊すためではなく、守るために。
コメント
6件
良かったぁ。°(´ฅωฅ`)°。 崩壊が止まった… お互いを守りたいんだもん きっと大丈夫(* ˘꒳˘)⁾⁾世界はうまく回っていくと信じたいね これだけ壮大なんだから 思いっきり、やり残す事なく書いたら良いのよ〜(,,•ω•,,)و💕 この世界の傍観者として見守ります!!
セイレーンのお話、壮大で大好きです!設定も凝っていてすごいなと思います✨自分が考えるのはリアル設定ばかりなので💦 まだまだ読めるようで嬉しいです😊続きも楽しみにしてます!