テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
⚠️意味不明なところがあるかもしれません。申し訳ございません。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
新野先生や善法寺伊作の治療によって彼女の怪我の治療が終わった。
きり丸はすぐに彼女の元を訪れて、ずっと泣いていた。
「姉ちゃん、ね”え”ち”ゃ”ん”」
呼びかけても、包帯を巻かれた手を握っても、熱を少ししか感じられなくても、髪に括られた自分とお揃いの黄色の組紐を触っても、彼女の目は固く閉じられたまま。
半月すぎても目を覚まさない、ひと月たっても目を覚まさない。
きり丸は授業を受けたら、眠っている彼女の元へ向かう。最近は、アルバイトを休んでいるそうだ。銭を稼がなきゃならないのに、身体が動かなかった。ただ、彼女の傍にいたかった。
ご飯は、食べられる。
睡眠も、とれる。
彼女に怒られてしまうから。
彼女は4年の間、きり丸を探し続けていた。
誰にも頼らず、祖父との約束を守る為に。
時間が許す限り、思い当たるところは危険な城でも危険な森でも探していた。
それと同時に、鍛錬も勉学も怠らずに。
成績優秀者としてくノ一教室で胸を張っていた。
6年生や同学年に負けないようにくノ一教室にいる後輩たちが尊敬するような彼女のまま、佇んでいた。
それを自慢することはなかった。
だから、くノ一教室の後輩だけではなく、忍たまの後輩たちも慕っていたのだろう。
善法寺伊作は、眠っている彼女を優しい瞳で見ていた。自分たちに相談することなく、同学年にも相談することなく、先生方にも相談することも無く、ただ、彼女は祖父との約束を果たすために1人できり丸を探し続けていたのだろう。
彼女だって、わかっていたはずだった。
1人できり丸を探すのは効率が悪いのだと。
しかし、祖父を殺したであろう残党に自分以外が狙われるのはまた、1人になるのは嫌だったんだろう。
彼女は怪我もせずに帰ってくることが多かったから、怪我なんてしていたかなんて分からない。
男女の差を感じられる、といった彼女はくノ一教室の山本シナ先生と共にくノ一で必要な知識を改めて学び、忍たまとも対等にやり合えることを証明するために日々励んでいる、と。
ある日の事だった。
いつものようにきり丸が医務室に来て、彼女の手を握っていた。握り返すことない彼女の手をきり丸は重ねた手を見て彼女の妖艶な指を自分の手に握り返させる。
「曲者だ!!」
誰かの声がした途端、彼女はすぐに目を開けて光のない目で近くにいたきり丸の手を引っ張り、抱き上げ、医務室から飛び出した。しかし、その近くにいた善法寺伊作に軽く蹴りを入れてから、彼女はきり丸を抱え、草履も履かずに臨戦態勢を敷いた。
「ね、ねぇちゃん?」
きり丸の声に彼女はきり丸を抱え直し、きり丸の頬に彼女の頬を擦り付ける。
「すまん、曲者は捉えた。」
やってきた立花仙蔵と潮江文次郎がタイミングよく、医務室にやってきた。臨戦態勢をとる彼女を見るふたりは、頬を緩めた。
「四ノ宮!目が覚めたのか?」
「良かった、文次郎がうるさくてな、」
しかし、近くにお腹を抑えてしゃがみこんでいる善法寺伊作を見た瞬間、
「ね、姉ちゃん!!」
四ノ宮は立花仙蔵の懐にあった苦無を抜き取り、近くにいた潮江文次郎の首ギリギリに振り下ろそうとしたが、潮江文次郎が間一髪それを阻止した。
四ノ宮は、苦無を構えながらきり丸の後頭部を抱え、自分の肩に押し付ける。まるで、血を見せないようにしているようだ。
「なんの、つもりだ!四ノ宮!!」
立花仙蔵の声に反応せず、彼女は光の無い目でその場にいる3人を睨みつけた。3人ときり丸は、彼女が放つ殺気に身体が震える。
きり丸は姉の顔を小さな手で包み込みながら、目からボロボロと涙を零しながら、姉に訴える。
「姉ちゃん、大丈夫だよ、俺、怪我してないよ、」
姉は目からボロボロと涙をこぼすきり丸を見て微かにピク、と動いたがきり丸が姉の首に腕を回す。
「私の弟は優しいからこう言ったんだ。」
彼女は3人をさらに睨みつけ、きり丸の小さな背中に手を回した。
「私の弟にこう言わせたのは、誰だ?
私の弟に手を出したヤツは、誰だ?」
その言葉に立花仙蔵が彼女に諭すように言う。
「し、四ノ宮!落ち着け、」
四ノ宮は立花仙蔵の言葉にかぶせる。
「私の弟にこう言わせたのは、お前だな?」
苦無を構える彼女。
「きり丸、どうか……」
姉はきり丸の頭を撫でる。
「目をつぶっていて」
きり丸の頬に妖艶な指でなでる。
「耳を塞いでいて。」
きり丸が、え、と声を上げたのが合図で彼女は立花仙蔵に苦無を振り下ろした。
立花仙蔵はすぐにもうひとつあった苦無で彼女が振り下ろした苦無を受け止める。
このままだと、彼女の不本意で怪我をさせてしまう。
どうすれば、いいんだ、と善法寺伊作が思っていると、医務室に息を切らしながら、やってきた人物が彼女に声をかけた。
「結江、もう大丈夫だよ。きり丸は無事だ。お前の弟はここにいる。離れない。」
土井半助がそう言って彼女の手にある苦無を持つ手を静止した。
「大丈夫だ。結江、ここは安全だ。」
その言葉に彼女は苦無から手を離し、きり丸を両手で抱きしめる。そのまま、土井半助の方に倒れ、また、目をゆっくりと瞑った。
おっと、と声を漏らしながら彼女と彼女の腕の中にいるきり丸を受け止める。そのまま、その場に座らせる。
「土井先生、」
周りにいる立花仙蔵、潮江文次郎、善法寺伊作は心配そうに彼女ときり丸を見る。
「四ノ宮……」
潮江文次郎が心配そうに四ノ宮を見つめる。
潮江文次郎はゆっくりと四ノ宮の頬に触れた。
隣にいた立花仙蔵が、んん……と咳払いしてから潮江文次郎に声をかけた。
「文次郎、女の子に許可なく触れるのはいいとは言えないな。」
そう言われた潮江文次郎は「あ”!!!!」と大きな声を出して彼女に触れていた頬から手を離そうとしたが、グ、と握られた。
「ね、姉ちゃん?」
きり丸が心配したのか、彼女の方に抱きついた。
彼女はそんな、きり丸の頭を撫でゆっくりと薄い桜色の瞳を開いていく。
「なぁに……」
その声はきり丸しか知らない姉の砂糖菓子のような甘い声で、小さい頃、何度も何度も姉を呼ぶとそんな声で返事してくれた。
「ね、ねぇちゃん……」
もう一度恐る恐る呼んだ。
姉は潮江文次郎の手から手を離し、きり丸を抱きしめた。
「はぁい……」
彼女の目から大粒の涙がこぼれ落ちていた。
まるで、金平糖のようで綺麗だった。
「きり丸、」
姉がそう言って、きり丸の涙を妖艶で美しい指先で拭った。
「見つけるのが、遅くなってごめんね。」
彼女は眉を寄せて、さらに涙をボロボロとこぼす。
「いいよ、いいよ、姉ちゃんは、俺の事見つけてくれたもん。」
その言葉に姉はきり丸をさらに抱きしめた。
周りにいた、4人は穏やかそうに笑みを浮かべていた。
「姉ちゃん……」
「無事で、良かった……」
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!