「傍にいたいから」
虹(にじ)が溶けてしまうと、私はそっと目を閉じた。
霧雨(きりさめ)が冷たくて、触れ合った場所が余計に温かく感じる。
間近で聞こえる呼吸。
湿った体温。
言えない気持ち。
いろんなものが混じり合って、どれくらいの時間が過ぎただろうか。
ようやく涙が止まった頃、 鎖骨(さこつ)の前で交差した 佐伯(さえき)の腕に手をあて、ゆっくりと振り向いた。
そこにあるのは、見たことないほど弱々しい、 怯(おび)えた子供のような顔。
(……皓(ひかる)くん)
私は少しだけつま先を伸ばし、自分の唇を彼の唇にあてた。
冷たい、柔らかい感触。
彼の目が大きく見開き、回された腕の力が 緩(ゆる)んだ瞬間、地面を 蹴(け)って前へ駆け出した。
遊歩道から階段をあがり、駐車場を横切ろうとした時、「 望月(もちづき)さん!」と声がした。
駆け寄って***************
*****************************
**************************
*************
**************************
******************
*****************
**************************
コメント
1件