【能力者名】シリアスブレイカー
【能力名】 ブリキノダンス
《友好型》
【能力】 鋼の肉体と精神を得る能力。
【以下、細菌達の記録】
《日曜日、米津町河川敷のグラウンドにて》
どろり、海街、表裏一体の三人はパンダこと半田緋色に頼まれて、草野球の助っ人に来ていた。
「あ、どろり君達、今日はよろしくねー。」
ユニフォーム姿の半田緋色はそう言って
おだやかに笑った。
彼の目には、相変わらずものすごいクマがあった。
「ああ、よろしくな、パンダ。」
そう言ってどろりがパンダに握手をしようとした。ふと、表裏一体がほんの悪戯心で
『性別を操る能力 《裏表ラバーズ》』を発動し、どろりが女の子になった。
突然、ゾクッ …..とどろりの背中にものすごい悪寒がした。
(ッ!!?なんだ今の!!?)
どろりは思わず背後を振り返った。
しかし背後には誰もいなかった。
「悪夢ちゃんダメだよー。誰彼構わず
悪夢を見せようとしたら。」
気づくと手に金属バットを持っていたパンダ
が宥めるように金属バットを撫でていた。
「フーーーッ!!!ッフシャーーー!!!!!」
金属バットは少女のような声でどろりを威嚇した。
(パンダの能力か?金属バットに威嚇されるのはこれが初めてだな…….。)
どろりはそう思い、パンダと金属バットから
距離を取った。
女の子になったどろりは 表裏一体のところへと向かい表裏一体の頭に軽くチョップをした。
「ぎゃいん!!?」
「表裏一体?能力を悪用するのはよくない、腹立たしいことだ。ロカ先生に
言いつけるぞ??」
表裏一体は唇から指を放し、能力を解除した。どろりは男に戻った。
「へー、パンダの能力ってボクの能力で女の子にしたやつにも発動するんだー。今度はどろり、男のまんまでパンダに抱きついてきてよ☆」
「人を実験台にするのはよくない、かなしい
ことだ……。」
どろりは呆れながら言った。
「シリアーッス!!!喧嘩はよくないぞ二人とも!!!ここは私の5連プロ野球選手ものまねでシリアス展開を破壊するッ!!! 」
そう言ってシリアスブレイカーは細かすぎて伝わらないものまねを披露した。
「あー☆シリアスブレイカーだー!!!いつも
Tiktok見てるよー!!ボクシリアスブレイカーの鋼鉄の身体で1000℃のマグマに耐えてみた動画めっちゃ好きーー!!!」
そう言って表裏一体はシリアスブレイカーに
ハイタッチした。
「ありがシリアスッ!!!あの動画は 各方面に怒られたのでシリアスに削除したがなッ!!!!」
シリアスブレイカーは鋼鉄の身体になりながら表裏一体に優しくハイタッチした。
「シリアスブレイカー先輩もこっちのチーム
なんですね。今日はよろしくお願いします。」
どろりは礼儀正しくシリアスブレイカーに
挨拶をした。
「よろしくシリアスッ!!!」
シリアスブレイカーは仮面ライダーのような
ポーズをしながらどろりに挨拶した。
「ねーねーシリアスブレイカー☆あるは先輩と付き合ってるって噂は本当なのー?」
悪戯っぽい笑みを浮かべながら表裏一体は
シリアスブレイカーに聞いた。シリアスブレイカーの鋼鉄の体がみるみるうちに赤くなった。
「ムムッ!!?そんなシリアスな噂がッ!?あるは
は私にとってよき友であり頼れるバディだ!!!ッッ、ウォーミングのため、ランニング10kmしてくるッ!!!うおおおおお!!!!!!!!!
シリアスシリアスッ……シリアーッス!!!!」
そう言ってシリアスブレイカーは勢いよく
駆け抜けて言った。
「…..試合始まる前には戻ってきてくださいねー。」
パンダはあくびをしながら言った。
しばらくして敵の草野球チームがやってきた。
「よぉォ、パンダァ。ルールはいつもどうり相手への能力による妨害なし、味方や自分への能力によるサポートありだ。パンダァ、前回は負けちまったが今日こそはギッタギッタのボッコボッコにしてやるぜぇ?」
敵チームのキャプテン剛田大巨人は今日日聞かない台詞を吐きながら
味方チームのキャプテンパンダに握手を求めた。
「お手柔らかにお願いしますー。」
パンダはそう言ってジャイアントに握手した。
試合開始である。
ここで、味方チームと敵チームの戦力を
確認しよう。
《能力あり草野球 チーム一覧》
【パンダチーム(味方チーム)】
【妖怪沢どろり(擬態型)】…….手の平で触れた人間を溶かす能力《メルト》を持つ。
草野球初心者。
【海街心蔵(友好型)】……..異空間に防音室を生み出す能力《深海シティーアンダーグラウンド》を持つ。草野球初心者。
【恋原表裏一体(友好型)】………性別を操る能力 《裏表ラバーズ》を持つ女の子。
(とりあえずボールをバットで打てばいいんだよね?)
と言うふんわりした野球知識しかない。
【半田緋色(擬態型)】……..何もない場所から金属バットを出す能力《パンダ•ヒーロー》を持つ(と周りには認識されてる。)。
実際には彼は《悪夢ちゃん》という悪霊?に
取り憑かれているだけで彼自身は
無能力者。パンダチームの四番バッターで
キャッチャー。
【シリアスブレイカー(友好型)】
………..鋼の身体と精神を得る能力
《ブリキノダンス》を持つ。パンダチームの
ピッチャー。
【川中島練度(友好型)】
……….《中島》、《レン》、《ち◯このやべーやつ》と呼ばれ慕われるどろり達のクラスメイト。小学生の頃ノリでち◯こを刀に
する能力《ギガンティックO.T.N》を獲得したやべーやつ。草野球経験者。
【パンダの友達三人】
……..無能力者、気の良い連中。この話では
特に活躍しない。
【ジャイアントチーム(敵チーム)】
【剛田大巨人(友好型)】
……..ものすごくムキムキになる能力
《アルティメット•センパイ》を持つ
浪人生。受験勉強そっちのけで草野球 に没頭する。ジャイアントチームのピッチャーで四番バッター。
【伊吹山狛犬】
仲間と完璧に呼吸を合わせる能力
【阿吽のビーツ】
を使いあらゆるスポーツの助っ人をしている
天才スポーツマン。
キャッチャーとして剛田に雇われている。
【継接我楽(擬態型)】
能力不明、顔にツギハギのある男子。
【人柱燐墓(擬態型)】
能力不明、電柱のような髪止めをした女の子。虚ろな顔をしている。
【ジャイアントチームのメンバー6人】
時間と能力を持て余した強力な能力者達。
この話では特に活躍しない。
こうして、能力者達による草野球がはじまった。
【バッターどろり】
「いけー☆どろりー!!!かっとばせーッ!!!!」
「シリアーッス!!!!!」
表裏一体とシリアスブレイカー達が野次を
飛ばした。海街はベンチの端っこで音楽を聴いてた。
(勝負事で手を抜くのはよくない、ここは
本気でいこう。)
そうやってどろりはバットを構えた。
ピッチャー剛田がボールを投げた。
その時、竜巻のような風圧がどろりを襲い
どろりは派手に吹き飛んだ。
(え、…….は?…..。)
「ぐえぇっ!!?」
潰れたヒキガエルのような声をあげながら
どろりはなんとか受け身をとった。
(……何あれ?アレを打てと?兵器じゃん
あれ?え、今日これから毎回あのボール喰らうの?)
どろりは土埃まみれになりながらそう思った。
こうしてあと二回吹き飛ばされながらどろりはアウトとなった。
「どんまい☆どろりー!!」
「ナイストライだぞッ!!!どろり君ッ!!!」
「….ゲホッ…..三途の川が見えましたよ。」
げっそりしながらどろりは海街と交代した。
【バッター 海街】
海街は冷静にバットを構えた。
ピッチャー剛田が……投げた。
「《深海シティーアンダーグラウンド》。」
そう言って海街は目を閉じ、《深海シティー
アンダーグラウンド》で異空間へと消えた。
パァァァンと大きな音が鳴った。
キャッチャーが剛田の豪速球をキャッチした。ボールからは煙が出ていた。
「ストラァァァイク!!!!!!」
審判が言った。
「あいつ…….逃げやがったッ…..!!!」
とどろりは言った。
その後も海街は 《深海シティーアンダーグラウンド》で球を躱し続けスリーアウトになった。
「あれは、人類がどうこうできる相手じゃない。」
極めて冷静に海街は言って、ヘッドフォンをつけて自分の世界へと入っていった。
「ほんっとどろりたちはしょーがないなー☆
まぁこのボクに任せてよ。」
あざとくペロッと舌を出しながら表裏一体は言った。
「お前…..大丈夫なのか?裏表ラバーズで相手妨害しちゃ駄目なんだぞ?それにお前野球知らないって言ってただろ?」
どろりは心配そうに言った。
「へーきへーき、だってボク生まれてこの方負けたことないもん☆」
自己肯定感の塊である表裏一体はそう言って
不敵に笑った。
【バッター、表裏一体】
「やーん☆ボクこっわぁーい…..。」
えっぐい内股をし、きゃるーんと涙目になりながら表裏一体は言った。
「おいおいキャプテン手加減してやれよー?」
「怪我させんなよー!!」
と敵チームのメンバーは言った。
剛田大巨人は冷静に表裏一体を観察した。
(…..バットを片手で持っている。おそらく本当に数合わせの初心者なのだろう……怪我をさせるわけにはいかない。しかし相手は能力者。ここは 油断せず、スローカーブで打ち取りにいくか …..。)
そして剛田は魔球とも呼べるスローカーブを
投げた。
球の勢いは非常に緩やかだったがものすごい回転がかかり、球は表裏一体のバットをすり抜けストライクを取る筈だった。
(ふふっ、 ……計画通り☆)
「《裏表ラバーズ滑走遊戯》!!!」
表裏一体は自らの能力で性別を変えて手足の
リーチを伸ばした。性別を操る能力を利用し自らの体格、リーチを瞬時に変える。
これこそが表裏一体の裏技
《裏表ラバーズ滑走遊戯》である。
「なぁ!!!!?」
ピッチャーの剛田は驚愕した。
表裏一体のすらりと伸びた手足は剛田の球を
見事に捉えてホームランを打った。
そして 表裏一体はホームベースをまわってどろり達にタッチした。
(半田にタッチすると悪夢を
見るので半田以外とタッチした。)
「これがっ☆ボクの実力だよー!!!」
胸を張りながらどや顔で表裏一体は言った。
「……いや、すごいなお前…….。」
「悔しいが認めざるを得ない……。」
流石のどろり達も今回ばかりは表裏一体を
認めざるを得なかった。
「我楽、あの子の能力。どう思う?」
敵チームの一人、燐墓は我楽の膝の上に頭を乗せ、髪の毛を弄りながら言った。
「…..確かに面白い能力だ。だからこそ残念だよ。」
我楽はそう言ってツギハギだらけの手をグーパーしてみせた。
【敵チームの攻撃】
「シリッアーーーース!!!!ブレイッカァァァァ!!!!!」
大声で叫びながらシリアスブレイカーは
その豪速球で敵チームの能力者達を次々
打ち取っていった。
「やっぱすごいなぁ、シリアスブレイカーさんは。」
シリアスブレイカーの豪速球を正面から受け止め続けながらパンダは言った。
パンダチームはこの回を無失点に抑えた。
【バッター、パンダ】
「パンダァァァァ!!!やっっッとリベンジを
果たせるぜぇぇぇ!!!!
《アルティメットセンパイ》!!!120%解放ゥゥゥゥゥ!!!!!!」
能力で途方もない筋肉の塊になりながら敵チームの ピッチャー剛田大巨人は全力の豪速球を投げた。
「《パンダヒーロー》。」
紫色の煙に覆われながらパンダがフードを被ったヒーローの姿に変身した。
そしてパンダが勢いよく金属バットを
振った。
カキィィィン!!!!と派手な音がなり、
ボールが遥か彼方へと飛んでいった。
ホームランである。
「……クッ、完敗だ。」
剛田は膝からへたりこんだ。その顔はどこか
満足げだった。
瞬間移動かと見まがう程の速度で一塁、二塁、三塁のベースを踏んだあと、パンダは
本塁に戻ってきた。
(パンダの能力……自らを強化することも
出来るのか……それにしても、ロカ先生ほどではないがとんでもない速度とパワーだ。)
どろりはパンダの持つ潜在能力に驚愕した。
「すっごーい!!やるじゃんパンダ☆」
表裏一体はそういってパンダを褒めた。
「…….それじゃ、後はよろしくおねふぁいひまふ……..。」
そういいのこすと半田緋色はベンチに倒れこんだ。
「パンダ!!?大丈夫か!!!!?」
どろりが心配そうに言った。
すると、どろりの目の前に金属バットが
現れた。
「うるっさいわね、眠ってるだけよ……。
……あいったたた、パンダのやつ私をあんなに風に 乱暴に扱いやがって……夢の中で説教してやるんだから…..。」
金属バットがどろりの前に現れたと思ったら
すぐにどこかへと消えてしまった。
「毎回そうなんでござるよ。パンダ殿があの姿になった後はこうしてしばらく眠っているで ござる。ここからは拙者達でこのリードを守りきるでござるよ。
《ギガンティックO.T.N》抜刀!!!!!」
そう言って川中島は自らのちん◯んを日本刀に変えて、打席へと向かっていった。
能力者達の草野球はまだまだ続く。
(最後まで読んでくださりありがとうございます。)
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