サヨナラなんていわないで

ガラ

「相川 風です」

みんなが彼に注目する。転校生だから、というのは当たり前としてみんなが彼を見つめる理由は他にあるようだ。

端正な顔立ちに色素の薄い目や髪、肌

こんなにも暑いのに、どこか涼し気な雰囲気だ。芸能人と言われても頷けるほど。

「東京から来ました」

「これからよろしくお願いします」

1時間が終わり休み時間になるとみんな一斉に相川くんの席に寄った。きっと質問攻めが始まるのだろう。私はあんまり自分から積極的に話しかけるタイプでもなければ人の前に立つ人間でもないので、きっと彼と関わる機会はないだろう。みんな相川くんのところにいて、席に座っているのが私だけということに気がついた。なんだか少しきまづいから御手洗にでも行こう。

ガラッ

一気に暑くなる。クラスの前にも別のクラスの人がいる。きっと転校生を見に来たのかな。