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その絵には、タイトルがない。
作者の名前も、制作年も、記録が残っていない。
ただ、美術関係者の間では、こう呼ばれている。
「花骸(はながら)」
各以下の証言は『未帰属作品調査録 2004年版』に掲載されているとされる。※現在絶版
他、参考文献
『視覚資料研究 第18号』
『蒐集家の遺したもの(増補改訂版)』
『未分類視覚資料 2007-2012』
※上記いずれも研究誌のため、一般販売はされていない。
■最初の所有者
最初にこの絵が確認されたのは、
地方の小さな画廊だった。
オーナーはこう言い残している。
「最初は普通の絵だったんだ。
でも、見ていると……増えるんだ
だんだん“骨が増える”んだよ」
画廊は、半年後に閉鎖された。
理由は公表されていない。
■この絵の“共通点”
所有者には、奇妙な共通点がある。
・夜、赤い花の夢を見る
・水の中から誰かに見られている感覚が続く
・部屋の壁に花のような影が映る
・写真を撮ると、背景に知らない骨の形が写る
そして、必ず最後にこう証言する。
「あの子、こっちを覚えた」
■最も有名な証言
あるコレクターは、こう語っている。
※インタビューより抜粋
「夜中に、絵の前を通った時、
髪が少しだけ揺れていた」
「絵の中の髪が揺れるなんて、今考えれば奇妙な事だが、あの時は窓でも閉め忘れたかと自然に思った」
「……それから、花の匂いがした」
■本当の呪い
※執筆者不明
この絵の呪いは、
見る者に災をもたらすことではない。
違う。
この絵は――
“覚える”
一度、
「綺麗だ」と思った人間を。
■噂(確認されていない)
絵を持っている人の家では、
こんな現象が起きると言われている。
・鏡の奥に、赤い花が一瞬だけ映る
・黒いインクのような滴りが、水回りに残る
・朝起きると、部屋に知らない花びらが落ちている
そして、ある日。
夢の中で、
あの骨の少女がこう言う。
「ずっと離れません」
※この文書を読んだ者に、体調不良や不眠を訴えた者多数あり。
コメント
3件
最後の一文、ちょっと怖かったです わたしも、体調不良になっちゃったりして……笑