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「関間さん、関間さん。 僕、共感って言葉、あんまり好ましく思えないんですよ。」
紅茶カップにスティックシュガーを入れながら、男は、言った。
「わかります。人の心って、たった二文字で表現できるほど、ちっぽけではありませんよね。 」
関間はコーヒーカップを口元に運ぼうとしたが、途端に石像のように固まった。
「これも、共感ですね。」
「あっ、そうですね。」
お二人は仲が良いのだろうか。笑いあってい
る。
「共感する、と口では言いますけど、真には、理解不可能ですから。相槌ですよ、ただの。」
「相槌なら、もっと許せませんよ。人の心ってのは、その時できるものじゃないんです。これまでの経験とか、知識とか、抱いてきた感情が合わさって、やっとなにか感じられるものなんです。」
関間はコーヒーカップを置いて、座り直した。
「島さん。そうはいっても、唯我独尊ですよ〜。この国は民主主義なのだから。一人ではないのだから。」
関間の意見はもっとも、島という男の見解を打破していた。男は、瞼を不規則に閉じながら、目玉を不規則に動かしている。
彼らのテーブルに、この店じまんのケーキが届く。そのケーキには、店のロゴである馬のシルエットが、 描かれていたようだ。