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「アートポート南部…特に何も無し…っと。」
アリシールが手帳にメモをした。
「おーい、アリシール、何してんだ?」
アルレイドが手帳を覗き込みながら言った。
「24日 アートポート到着!海があった!広…」
「勝手に見ないで!」
アルレイドが声に出して読んだので、アリシールは手帳をすかさずポケットにしまった。
「どうでもいいや、早く北部に行こうぜ。」
南部には面白い物は特に無かったので、二人は早くに飽きてしまった。そこで、海側と北部に行こうとしているのだ。
「そうだね。お金無いからまた歩きかなー。」
「銀行ぐらい行っとけよ!これじゃまた迷うぞ!」
アリシールはアルレイドの言葉を気にも留めず歩き出した。
「…北部に行こうとして、海まで来た…やっぱり地図見間違ってるんじゃないか?」
二人はまた迷ったらしい。
「海の近くも行く予定だったでしょ!結果オーライ!そして、多分コンパスが壊れてる!」
アリシールは焦りながら言った。魔法で作ったコンパスはちゃんと北を指している。壊れていない。
「まあいっか。別に責める気ないし。」
アルレイドは今日だけ全く問い詰めなかった。
「すみませーん。港町ってどこですか?道に迷ったんですけど…」
アリシールがその辺を通りかかった人に道を訪ねた。
「ここが港町だよ…?」
その人は少し困惑した様子で言った。
「旅人?ちょうど良かった!今日お祭りがあるから、良かったら来てください!」
そして、お祭りの宣伝をされた。
「祭りに行ってもなー…」
アルレイドは乗り気ではないが、アリシールがその気になってしまったため、お祭りに行くことにした。
「見て!アルレイド!貝殻形のランタンがある!」
「ホントだ」
二人には温度差がかなりある。しかし、アルレイドも気になるものを見つけた。
「うわー!水晶玉!どうしてこんな物が!?」
魔法を嫌った人たちは、占いも魔法として嫌った。つまり、本来であればここに無いはずの物と言うことだ。
「いらっしゃいませ!…あれ?さっきの人!来てくれてありがとうございます!」
先ほどアリシールが道を聞いた人だ。
「こんばんは、これって出店なのか?」
やっぱりアルレイドは敬語を使わない。
「はい!占いの商品を置いてます!私は店主のライムです!良かったら見て行ってください!」
そう言われなくても、アルレイドは見ていくつもりだった。
「この辺って、魔法使いがいるのか?」
棚の上に並んでいる本を手に取りながら、アルレイドは言った。
「まさか!魔法使いはおとぎ話だけの話!アートポートには占い師だったらいますよ!紹介しましょうか?」
ライムはおかしそうにしている。
「それってホントかな?」
アルレイドは意地悪そうに笑った。ライムは何の事なのかさっぱりわかっていない。
「アルレイドー!来てー!」
遠くでアリシールが読んでいる。
「今行くー!」
「…お姉さんですか?」
アリシールを見ながらライムは言った。
「いや、双子だけどどっちが上かわからないんだ。」
「そうなんですね!ごめんなさい!貴方の方が背が低いので、てっきり弟さんなのかと…」
「…私、女なんだけど…」
怒りを必死に抑えながら、アルレイドは言った。身長に触れられ、弟だと思われ。アルレイドが一番嫌な間違われ方をした。
「ごめんなさい!」
ライムは戸惑いながら謝った。
「じゃ、もう行くから…」
「ちょっと待ってください!お店に来てくれた人にサインしてもらうことになってるんです!」
ライムはノートを差し出した。
「…っと!はい…店ん中面白かったぜ!」
アルレイドはサインを書くと、アリシールの方に向かって走り出した。
「変わった人だったな…、アルレイド・フィレッジ?何処かで聞いたことあるような…」
この人の疑問も、いつか解けるだろう。
「見て!これ!綺麗じゃない?」
アリシールは貝殻形のランタンを買っていた。
「そんな金どこにあったんだよ…」
アルレイドは呆れている。
「食費に取っておいたお金!」
「はぁ?!食費使ったのかよ!食べ物どうするんだ!」
これは流石に誰でも怒る。
「大丈夫!今から銀行に行くから!」
アリシールはそう言ってはいるが、銀行にたどり着くことができるかの方が問題だ。それに二人は気付いていない。