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モンダイジ団 名前編

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モンダイジ団 名前編

15 - 第14話 サイド リオ

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2022年08月04日

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サイド リオ


「……少しは焦れよ」

タエの首に手をかけたまま、俺はそう言った。

「……リオさんは、そんなことしない。ここで私を殺しても、メリットがないもん」

その瞳に、一片の不安も恐怖も怯えもなかった。ただ、真っ直ぐにこちらを覗き込んでいる。

「……流石っすね」

俺はゆっくり手を離した。同時に団長の変装もとく。

「あーあ。ホント完敗っすよ。なんなんすかね、アンタら」

自分の胸の中にある熱が、暴走しないように言葉を発して無理矢理落ち着かせる。

「……私の、この頭の良さは、才能なんかじゃ、ないよ。」

ポツリと、少女はそういう。どこか昔を思い出すようにして。

「……私は、いい子でないと、生きていけなかったから。怒られて、虐められるから。……少しでも自分を守るしか、なかったの」

言葉に詰まった。体に冷水を浴びせられた気分だった。

……苦労してない訳じゃ、なかった。頼る人が、今の言葉にはいなかった。

「……酷いこと言って、悪かったっすね」

「ううん、リオさんも、苦労してるんでしょう?私は、今はみんながいるから」

ああ、本当に敵わないっすね。

「……リオさんには、そういう人が、いなかったの?」

「俺にだっているっすよ。大切な家族が」

「じゃあ……」

「大切、だからこそ、話せないし苦しくなることもあるんすよ」

俺の家族は大人数で、しかもほとんど血が繋がっていない。だけど、全員大切で、かけがえのない存在だ。

この喋り方も、家族から移ったものだし。弟妹全員なんの悩みも抱えず伸び伸びと育って欲しい。

……そのために、お金が必要なんすよ。両親の給料だけじゃ足りないから、俺も誰にもバレないように、……変装してでも、振り子になっても、お金を稼ぎたかったんす。

「……だから、名前を呼ばないの?」

少女はそう聞いた。

「……気づいてたんすね」

俺はゆっくり少女を見た。

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