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腐ってて何が悪いですか?
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ゅゆ
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晴明視点。
『見ず知らずの僕を中に入れてくれるなんて。』
『せいめい公はお優しいんですね』
「……見ず知らず、ねぇ……」
小さく、噛みしめるように呟いた。
そして、
「ねえ、そんな硬い呼び方はよしてよ。」
硬い呼び方………。
じゃあ、
『せいめいさん?』
「…うん、それがいい」
せいめいさんの表情が柔らかくなったのがわかった。
「……名前は?」
『晴明、です』
「……うん。晴明ね」
「………この時代に飛ばされた理由は」
「分かんないのかい?」
この時代に飛ばされた理由……。
『僕、事故にあって』
『その直後、気づいたらここに』
「………事故…。そっか。」
「じゃあ、それが関係しているのかもしれないね」
せいめいさんは少し考えるようにして言った。
「しばらく、ここに居なよ」
ここに?
確かに、このままでは
宿も食料もなく野垂れ死んでしまう。
こんな美味い話があるものか。
『いいんですか』
「構わないよ」
間を置かずに言う。
「追い出す理由もないからね」
本当に理由はそれだけなんですか。
聞こうとして、やめた。
別にそこを深く掘り下げる必要は無いし、
…………せいめいさんはきっと。
僕が想像出来ないぐらいに様々なことを考えていらっしゃる。
『……ありがとうございます!』
せいめいさんは軽く手を振る。
「礼はいらないよ」
「……一体この先、どうなるんだろうね」
「僕にも予想がつかないよ」
その言葉の意味が、
重いということは、僕にでも理解できた。
じゃりっ。
外から足音がした。
一人じゃない。複数人。
砂利を踏む音が、はっきりと近づいてくる。
「……帰ってきたみたいだね」
知っている気配だった。
まだここでは会っていないはずなのに、分かる。
恐らく、学園長……道満さんと四神だ。
あぁ。
………これ。
ここで顔を合わせるのはまずい。
瞬時に頭にそうよぎった。
理由は言葉にできないのに、確信だけがある。
『……っ』
思わず息を飲む。
せいめいさんが、ちらりと視線を向ける。
「どうしたんだい」
『……っ、僕、隠れなきゃ……』
『……だめだ、ここで会ったら……』
言葉と同時に立ち上がる。
「………なんで」
『…分かんないけど、はやく………』
せいめいさんが少し黙った。
目を細くして、僕の瞳を射抜く。
その視線に、冷や汗さえ出てくる気がした。
「……そう」
「じゃあ、あそこの部屋へお行き」
「滅多に使われないから、音さえ立てなければバレないよ」
せいめいさんに軽く礼をし、
音を立てないように滑り込む。
気配を殺す。
呼吸を浅くする。
足音が廊下に上がる。
軋む音が近い。
次の瞬間、横の障子のすぐ側で声が聞こえた。
──せいめい様、只今戻りました
「おかえりみんな」
「ご苦労だったね」
──特に変わりはなかったよ~
──いつも通り
──こちらも何もなかったですよ
──私のところもだ
──なんっでついでで俺も手伝わされたんだよ
──まーまー良いじゃん
──蘆屋殿のおかげで僕すっごい楽出来たんだし~
──お前利用しやがったな……
合計6人の声。
つい息を止めてしまう。
でも、
………気づかれてはないみたい。
── せいめい様をお1人にしたくはなかったのですが……
──何か問題は無かったですか?
「………」
せいめいさんの沈黙。
まさか、僕のこと告げられるか…?
「…ううん。何も」
──なら良かったです
どうやら、僕のことは無かったことにしてくれたらしい。
かたっ。
横の障子が揺れて音を立てる。
つい指先に力が入る。
動くな。
息をするな。
存在を消せ。
………見つかったらだめだ。
頭の中でそれだけを繰り返す。
──……ん?
とある1人の影がこちらを向く。
長い髪の束が揺れていた。
気づかれたかもしれない。
せいめいさんが、少し口早に
「どうしたんだい?」
気付けばせいめいさんも障子のすぐ側に立っていた。
──いや、なんか……
全員の動きが止まっていた。
──気の所為かな?
せいめいさんが静かに笑う。
「…なら、気にする事はないね」
話が続いていく。
何事もなかったように。
少し喉が楽になった。
見つかっていない。
バレてない。
………バレてはいけない理由も、分からないくせに
コメント
14件
うわぁ、ほんと夜さんが書く闇っぽい話大好きです、最近見れてなくてほんとうごめんなさい、キャラの謎めいた所もそんな所も書き表せるのすごくすごいと思います。闇だけじゃなくてちゃんと尊い所もあるし、夜さんの書く裏に何か重い感情を持ってる様な言葉使いとかそんな所まで表せるの本当尊敬します、!あと、この話とは関係ないですが、本当表紙がどれも闇っぽくて可愛いいんですよね!
わあ……第3話、すごく緊張感がありましたね😌💭 せいめいさんが晴明くんをかばって、あの場をやり過ごすところ、言葉にできない信頼とか距離感がじんわり伝わってきて、好きです。 それに、隠れてる晴明くんの“見つかってはいけない”っていう直感……理由がまだ分からないのに体が動く感じ、不気味でゾクッとしました。 なぜか会っちゃダメなんだ…って確信がある切なさ、すごく表現されてて、続きが気になる〜! 優しさの裏に何かがある空気感、夜のさんぽさんらしくて、すごく良かったです🥀