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るしゅ
ザブーン。池に落とされたようだ。
「うぅ…」
ひよりは池からはい上がった。
「ごめんね?だいじなぬいぐるみ濡らしちゃったね。」
みおだ。
「やめてよ。」
「せんせー。ひよりちゃんが池に落ちちゃったみたい。」
「みお。教えてくれてありがとうな。」
先生はみおを信じているようだ。
「だめじゃないか。こんなに濡れちゃって。」
今すぐ言いたい。これはみおがやったのだと。言ったところで信じてくれない。
「体操服に着替えなさい。」
体操服は雑に袋に押し込まれていた。
(ちゃんと畳んだのに。)
ひよりは体操服を広げた。
落書きをされていた。
「…」
「何その服装。だっさー。」
「なんでこんな事するの?」
「は?私何もしてないよ?そうやってすぐ人を疑うんだね。」
先生もみおに加勢した。
「自分でやったんだろ。」
ひよりは何も言い返すことができなかった。
体操服のまま家に帰った。
「どうしたの?その服。」
もこは心配したように聞いてきた。
「いじめられているんだね。私、本当に。」
今までためていた涙が少しずつ抜けてきた。
「大丈夫だよ、ひよりちゃん。僕がどうにかしてみせるよ。」
ひよりは心が重く感じた。
小さく青い光が輝いた。
「ひよりちゃん。これ。」
チョコレートを渡してきた。
「意味ないよ。こんなの…」
グスン。
泣いた。枕で口を抑えながら。
夜が明けた。土曜日。学校に行かなくてもいい日だ。
ひよりはピアノの練習をしていた。
「これ、なに?」
もこはピアノの鍵盤に上に乗って聞いた。
「これはね。ピアノっていうんだよ。見てて。」
ひよりはそっと鍵盤を押した。
音がなった。
「うわぁ!」
もこはびっくりして鍵盤から落ちそうになった。
「え?」
もこは地面に着く前に少し浮き上がってからひよりの肩のうえに乗った。
「ふぅ〜。危なかった。」
「もこって飛べるの?」
もこは自慢げに答えた。
「もちろん!妖精だからね!」
もこは聞いた。
「それ、僕もやっていい?」
「もちろん。いいよ。」
もこは鍵盤のうえでジャンプ。
音はならない。
「ふふ。」
ひよりは小馬鹿にしたように笑った。
「ひどいよ〜。」
「ひより〜。夕ご飯できたよ〜。」
「はーい。ちょっと待っててね。ご飯食べてくる。」
献立は唐揚げ。ひよりは正直あまり好きではない。でも、久しぶりにお母さんが作った料理だ。いつもはカップラーメンばっか。今日はパーティーみたいだった。
「ただいま。」
「見て。これ、ひよりがいない間に作ったんだ。」
もこが持っていたのはナイフ。
「これ、どうしたの?」
「これね、さっき外歩いてた人が持ち歩いてたからそのまま作ってみたんだよ。」
「速報です。50代男性の遺体がいずき町で発見されました。刃渡り約18cmの刃物で12ヵ所…」
(…いずき町。すぐ隣の町だ。)
「ふ~ん。人って仲間割れするんだ。」
もこはつぶやいた。ひよりはあまり気にしていなかった。
その夜、ひよりはベッドの中でもこが作ったナイフをじっと見つめた。
冷たかった。重かった。
「ひより?どうしたの?」
「…何でもない。」
ひよりはナイフをそっと引き出しの中にしまった。
もこは何も言わなかった。ただひよりの胸の上で、いつものようにじっとしていた。あたたかかった。
でもひよりの頭の中には、ナイフの感触がずっと残っていた。
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