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壊れた君を救うまで 12
「彼らは君を怒っているんじゃない。君が大切で、死んでほしくないから、必死なんだ」
先生の言葉が、すちの心に真っ直ぐに突き刺さる。
ゆっくりと後ろを振り返れば、血に汚れた服を着たまま、自分を壊れ物を扱うような、どこまでも深い愛おしさが籠った瞳で見つめる5人の男たち。
「すち。俺たちが、お前の痛みを半分もらうから。だから、もう一人で自傷なんかするな」
「そうだよ、すちくん。僕が、すちくんの代わりにいっぱい泣いてあげる。だから……僕たちと一緒に生きて?」
なつやこさめの、真っ直ぐで特大な愛の言葉。
今まで誰からもそんな風に言われたことがなかったすちは、急に胸の奥がくすぐったいような、熱いような、なんとも言えない気持ちになった。
(……な、なんなの、この人たち……。重い、っていうか……恥ずかしい……っ)
男の人が怖いという気持ち以上に、浴びせられる純粋な愛への「気まずさ」が限界を迎えた。
すちは耳まで真っ赤に染め上げると、無言のまま、フイッと勢いよく5人から目をそらし、下を向いて包帯の手首をいじり始めてしまった。
「あ……」
こさめが、目をそらされたことに一瞬きょとんとする。
しかし、そのすちの「照れ隠しの拒絶」が、5人の保護欲を完璧に狂わせた。
顔を真っ赤にしてツンと目をそらすその姿が、小動物みたいに、保護対象として可愛すぎたのだ。
(……かわいすぎる。何これ、誘拐して部屋に閉じ込めたい)(らん・心の声)
(ツンツンしやがって……。そういう態度、余計に構いたくなるんだけど)(なつ・心の声)
(あーもう、ぎゅって抱きしめてぇ! 骨折れないように優しくな!)(いるま・心の声)
5人は顔を見合わせ、声には出さないけれど、全員の目が「この子は絶対に俺たちの手で囲い込んで、一生甘やかす」という、さらに進化したどろどろの執着で一致した。
「すちくん、気まずくなっちゃったね。いいんだよ、ゆっくりで」
みことがすちの前にしゃがみ込み、目をそらしたままのすちの顔を覗き込もうと、下から優しく微笑みかける。
「お腹空いたでしょ? お家帰ったら、おれが作った美味しいお粥があるから。すちくんは手が痛くてスプーン持てへんから、俺らが順番に『あーん』してあげるな?」
「……っ!?」
すちはさらに顔を真っ赤にして、今度はみことからもフイッと反対側に目をそらした。
無言で何度も目をそらすたびに、5人の包囲網がじわじわと狭まっていく。
「よし、じゃあ手続きしてシェアハウスに帰るぞ。すち、歩けるか? 無理なら俺がまたお姫様抱っこしてやるけど」
いるまがニヤニヤしながら腕を広げると、すちは蚊の鳴くような声で「……あるけます」と呟いて、逃げるようにらんらんの背中に隠れた。
「ふふ、じゃあ俺の後ろについておいで。すちを置いていったりしないからね」
らんらんは嬉しそうに目を細め、すちを背中に庇いながら、病院の廊下を歩き始めた。
もう二度と、あの孤独で不穏な「お隣の部屋」には帰さない。
5人の男たちの過保護な愛の檻へ、すちを優しく閉じ込めるために。
次回♥️470💬1
コメント
6件
いるまくんの脳内抱きしめたいけど骨が折れないようにってちょっと優しいw
読了しましたー!13話、すちくんの照れ方がもう愛おしすぎて、こっちまで顔がにやけました(笑)。5人の「保護欲が狂う」瞬間の心理描写が細かくて、特にみこちゃんが覗き込んで「あーん」って言い出すくだり、完全にギャップ萌えです…!タイトルの「気まずくなっちゃったね。」も絶妙に刺さりました。次、シェアハウスでの生活がどうなるのか、続きが待ちきれません🌸