テラーノベル
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陸斗は家路を車で走っていた。
…と、ふと前方を歩いている 女性の後ろ姿が目に留まった。
背中まで伸びた サラサラした綺麗な黒髪に、ミニスカートからすらりと伸びた、長い足。
横を通り過ぎ際、陸斗は女性の顔を必死に覗き込んだ。
…そう、女好きは 相変わらず健在だ。
その時、瀬里香からLINEが入った。
陸斗は無視する。が、すぐ思い直した様にスマホを取った。
丁度赤信号で 車が停まった。
その間に、女性は陸斗の車の横を スタスタ通り過ぎて行った。
【莉亜の紙おむつが少ないの。悪いんだけど、帰りにスーパーへ寄って買って来てくれる?】
青信号になり、車を発進させると 陸斗は商店街の近くに車を停め、スーパーへと入って行った。
ベビー用品コーナーで LINEに送られてきた紙おむつの画像を確認しながら 順番に商品棚を見て歩く陸斗は、近くにいた主婦らの意外そうな視線とクスクス笑いに気づき 少し恥ずかしくなったが、構わずに莉亜の紙おむつを探した。
父親としての自覚を、と瀬里香に言われた当初は懸命に意識づけをしていたが 不思議と今は、自然に感情が湧くし 行動も出来る。
紙おむつを手に、家に着いた陸斗。
お好み焼きの匂いが、ふわんと家の中まで漂っている。
「おかえり」
部屋の襖ふすまを開け、莉亜を抱いた瀬里香が入って来た。
「ただいま。はい、これ。 莉亜~、いい子にしてまちたかぁ?」
陸斗は瀬里香に紙おむつを渡しながら、莉愛に向かって話しかけた。
「ありがとう! 助かった」
瀬里香は微笑みながら、陸斗から紙おむつを受け取った。
莉亜が、陸斗の顔を見て 何か言っている。
喃語だが、陸斗に向かって 莉亜は必死に何かを語りかけている。
「ぱぁ…ぱぁ…」
ハッとして、瀬里香が陸斗に言った。
「ね、もしかして莉亜、パパって言おうとしてるんじゃない?」
言われてみれば、そんなふうにも聞こえる…と 陸斗も思った。
「陸斗、ちょっと莉亜をみてもらってていい? 私、あと少しだけ店の用事が残ってるんだ」
瀬里香は陸斗の手に莉亜を委ゆだね、部屋を出た。
陸斗は、両腕の中の莉亜をあやしていた。
「パ…パ」
「莉亜!」
陸斗は感激で胸が一杯になり、莉亜に頬ずりをした。
「莉亜、パパって 呼んでくれたの? …そうだよ、莉亜のパパだよ」
(かわいい! 愛しくて堪らない! 子供って、娘って、こんなに可愛いものなんだな)
陸斗は娘の成長に感動した。
(莉亜、ずっとパパの傍にいるんだぞ。パパ、おまえを離さないからな。お嫁になんかいかせないぞ! よその男になど、かわいいおまえを渡すもんか!)
陸斗は、莉亜を抱きしめる手に 少しだけ力を込めた。
その時、陸斗は初めて 父親が娘を想う気持ちが解った。
ただ 幸せでいてほしい…
ハイスペクズだった男の顔は、只々娘の幸せだけを願う 父親そのものの顔に変わっていた。
【完】
赤井 里衣
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#ミステリー
コメント
1件
おつかれさま、赤井さん!第71話、読んだよ〜。 陸斗が莉亜に「パパ」って呼ばれて感激してるシーン、もう胸がぎゅってなった🥺 最初は女好きでちょっとチャラついてた男が、いつの間にか娘の幸せだけを願う父親になってるの、めっちゃ染みる…。成長ってこういうことなんだなって思った。 「お嫁になんかいかせない」ってちょっとヤンデレ入ってるのも、陸斗らしくて好きだよ🤍 完、って書いてあるけど、これで終わりなのかな? 続きがもしあったら、またゆっくり読みに来るね!