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空回り –side:Nami–
ルフィとは、長い付き合いだから。よく分かっているつもりだった。
だから最初は「いつも通り」に見えた。
トラ男に懐いているだけ。ルフィはよく誰かに懐くし、よく誰にでもくっつく。
それだけの話、、、だと思っていた。
でもある夜、私はロビンとルフィが甲板で真剣な顔をして話しかけるのを見た。
ロビンは柔らかな表情でいつも通りだったけど、ルフィは珍しく“照れ臭そうに”頭をかいた。
「初めてみた、、ルフィが照れてる所、、」
その様子を見て、私の胸に小さく警鐘が鳴った。
「ねぇロビン、あれ何話してたの?」
女部屋でさっきの事を質問してみた。
「恋の話よ」ロビンは微笑んで言った。「あの子、やっと自覚したみたい」
「……は?」
「“トラ男のこと、なんか他の仲間と違う気がする”って。ね、可愛いでしょ?」
「いやいやいやいや、何それ今更!?あんなに毎日べったりしてたのに!?あいつどんだけ無自覚だったの!?」
ロビンはくすくす笑うだけで、ナミは頭を抱えた。
—
そこからルフィは、“好きだ”とも“惚れた”とも言わないまま、でも全力でぶつかっていた。
「トラ男〜!」
「飯食ったか?」
「おれさ、お前と一緒にいると楽しいんだよな〜!」
距離感はいつも以上。会話の量も、接触の頻度も爆増。
一味は全員気づいていた。
「おい…あれ絶対好きじゃねぇか」
「トラ男がんばれ…」
「でもあれは…長げぇ追いかけっこになりそうだな…」
一方で、トラ男はというと——
「近ぇよ麦わら屋」
「そういうこと言うな」
「俺とお前は敵同士だろうが」
そう言って冷たく突き放している。でも、、少し違和感。
「なんか、自分自身に言ってるみたい、、」
顔が少し赤い。いつも目線の先はルフィに向けられている。
腕を押し退けるくせに、本気では振り払わない。
ナミは溜め息をついた。
(こじらせすぎでしょ…)
—
ある日、甲板の隅で、トラ男が一人、風を浴びてる所を。
「あっっやば」
私は咄嗟に隠れてしまった。
(いや、別に隠れる必要ないんだけど、、)
その背中は静かで、でもどこか焦がれているようで。
「……お前の“好き”と俺の“好き”は違ぇんだよ」
呟いた言葉は風にさらわれたけれど、確かに聞こえた。
「トラ男、、やっぱり、、、」
心臓がギュッと締め付けられた
その言葉の直後、ルフィが後ろから元気に走ってきて、「トラ男ー!なぁ聞いてくれよ!」って笑ってトラ男に飛びついていた。
ローはそのルフィの笑顔を見て、顔を歪めた。
「……っ」
(何?なんなのこれ?心臓がいたい、、)
そしてトラ男は静かに言った。
「俺はお前に欲しいって言えねぇ。けど……欲しいもんは、自分で手に入れる。海賊だからな」
トラ男らしい回りくどい告白だなっと思ってそこから立ち去った。
—
私は横で見守りながら2人を見ていた。
そしてロビンに聞こえるか聞こえないくらいの声でそっと囁いた。
「空回りだね、どっちも」
ロビンは微笑んで答えた。
どうやら聞こえたらしい。
「でも、それが一番面白いわ」
ロビンはくすくす笑っていた。
私は、、、無理でも笑えなかった。
—
To be continued…
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