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Mintはあきなさんを祝福する
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玲奈
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「ちょっと、そこの暗そうな君。……マスク、外しなさい」
先輩たちの鋭い視線が駿を捉えた、その瞬間。
「失礼しまーーす!! 新堂くん、急ぎで職員室に呼び出しだって! ほら、行くよ!!」
結衣が突然教室に乱入し、駿の手首をガシッと掴んだ。先輩たちが呆気にとられている隙に、駿を強引に廊下へと引っ張り出す。
「水瀬さん……!?」
「いいから走って! カバンは持ってきてある! このまま学校脱出(早退)よ!」
2人は非常階段を駆け下り、裏門から猛ダッシュで学校を飛び出した。後ろから
「あ! 待ちみなさい!」
と先輩たちの声が聞こえたが、もう振り返らない。全校生徒が『シュン』を探して大騒ぎする中、本物のシュンは、プロデューサーの結衣と共に青葉高校から鮮やかに逃亡したのだった。
「はぁ、はぁ……。やった、逃げ切った……!」
駅のホームで息を切らす駿に、結衣はニヤリとパスポートと航空券を突きつけた。
「さあ新堂くん、このまま成田空港へ直行よ! 『今日好き』のロケ地、南国のリゾートへ出発!」
――その日の夜。日本から数時間、2人が到着したのは、どこまでも続く黒い海と、波の音が心地いい南国の島だった。明日からの撮影に備え、メンバーとスタッフは現地の高級リゾートホテルに前泊することになっていた。もちろん、結衣も「保護者兼マネージャー」として同行している。ホテルの部屋のベランダ。夜風に吹かれながら、駿はいつもの地味メガネと大きなマスクを外し、本当の『素顔』に戻っていた。
「……明日から、本当に始まるんだね」
「何弱気になってんのよ」
隣の部屋のベランダから、結衣がひょっこり顔を出した。リゾートの雰囲気に合わせて、結衣も少し大人っぽい私服に着替えている。夜風に揺れる結衣の髪を見て、駿はドクンと胸が鳴るのを感じた。
「だって、女の子と2人きりで話すなんて、水瀬さん以外とまともにしたことないし……。僕、ちゃんと『今日好きのイケメン・シュン』を演じられるかな」
「演じるんじゃないよ」
結衣は真っ直ぐに駿の綺麗な瞳を見つめ、優しく微笑んだ。
「放課後の教室で、私を相手に練習したでしょ? あんたのあの真っ直ぐな言葉と、照れた時の笑顔。あれを出せば、絶対にみんな恋に落ちるから。……私が保証してあげる」
「水瀬さん……」
結衣の言葉に、駿の胸がじんわりと熱くなる。学校ではお節介で強引なプロデューサーだけど、誰よりも自分を信じてくれている。その存在が、今の駿にとって一番の救いだった。
「……うん。頑張るよ」
駿が写真のような、透明感あふれるハニカミ笑顔を見せると、結衣は
「っ……、だからその顔は心臓に悪いって言ってるでしょ!」
と慌てて部屋に引っ込んでしまった。
――そして、翌朝。雲一つない青空。きらきらと輝くエメラルドグリーンの海。波打ち際に、今シーズンの参加メンバーたちが集まっていた。高身長のモデル風イケメン、爽やかなスポーツマン、そして誰もがSNSで認知している可愛い女子高生たち。
『それでは、新シーズン最初の男子メンバーです。どうぞ!』
スタッフの合図とともに、駿が一歩を踏み出す。地味なメガネはない。顔を隠すマスクもない。首元には、結衣が選んでくれたあの青い革のチョーカー。風に前髪を揺らしながら、圧倒的な美貌と、少しはにかんだような「あざと可愛さ」を全身から放つ新堂駿が、ついにカメラの前に姿を現した。
「初めまして。高校1年の、シュンです。よろしくお願いします」
駿が笑顔で挨拶した瞬間、女子メンバーたちから「キャーッ!」というリアルな悲鳴が上がった。男子メンバーたちも
「マジか、勝てるわけねぇ……」
と一瞬で戦意を喪失している。カメラの死角からその様子を見守る結衣は、ガッツポーズをしながらも、なぜか胸の奥が少しだけチクリと痛むのを感じていた。
(日本中が、新堂くんの格好良さに気づいちゃうんだ……)
絶対に目立ちたくなかったインキャの高校生・新堂駿の、世界一ハラハラする「恋の旅」が、今ここに幕を開けた――!
コメント
1件
うわー、ついに物語が動き出したって感じで、すごくワクワクしました!結衣さんの「プロデューサーっぷり」がカッコよくて、教室に乱入して駿を連れ出すシーンは思わず笑顔に。そして、駿がマスクとメガネを外して「シュン」になる瞬間の描写が鮮やかで、この変貌が読んでいて気持ちいいですね。結衣が「胸がチクリ」と感じるところがもう…今後の展開が気になりすぎます!