樹side
樹「えー、このような状況のわけですが────」
琉叶「うんうん、そうだねぇ」
琉叶さんは相変わらずの高い声で言う。
…突然にはなるが、現段階で琉叶さんが1番怪しいと思う。
琉叶さんはフルネームを名乗っていない。 そして僕が「名字も教えてください」と言ったら、少し青ざめた顔で黙っていた。
わざわざ名字を言わない────これは怪しいと僕は思うのだ。
まあ、あくまでただの推理小説好きの憶測なのだが。
颯希「…」
颯希さんがさっきから黙り込んでいる。顔色もあまりよくなさそうだ。
…さっきまでのテンションはどこに行ったのだろうか。
僕が颯希さんの顔を注視していると、颯希さんが言った。
颯希「…どうした…んすか…?」
そう言った颯希さんにはどこか違和感を感じた。
颯希side
…気分が悪い。
なぜあの事について思い出してしまうのだろうか。思い出したくないのに、思い出してしまう____。
颯希「おばあちゃん、なんで私にはママとパパがいないの?」
あの頃の疑問。いや、うちが純粋だったときの疑問。
うちはおばあちゃんと縁側に座っていた。
おばあちゃん「颯希…ママとパパはねぇ…遠い遠い旅に出かけたのよ…」
おばあちゃんは”私”に対してそう言ってくれた。
当時は言っていることの意味が分からなくて、そのことを何度も何度も質問した。
…今思えば、できるだけ”私”を傷つけないようにしてくれていたんだなと思う。
璃穏side
風音「璃穏さんからしたらおはようございます…ですかね」
璃穏「えっと…今どんな状況でしょうか…?」
目覚めるとみんなに囲まれていて、私は軽く圧を感じてしまう。
樹「会議をしていました」
颯希「…そう…っすね…?」
琉叶「楽しい楽しい会議だよっ!」
会議…作戦でも立てるのだろうか。
樹「まず璃穏さんが寝ていた…いや寝ていたという表現でいいの────…まあいいでしょう、璃穏さんが寝ていた間のことを話しますね」
樹「ではあの放送はどこまで聞いてましたかね?」
璃穏「えっと…」
…なぜだろうか、思い出せない。思い出そうとしているはずなのに。
樹「覚えてない…ですか?」
樹くんが私の顔を覗き込んで言った。私が覚えていないことを察してくれたのだろうか。
璃穏「覚えてない…です。すみません…」
樹「いえいえ、僕がハードルが高いことを言ってしまいましたので…」
そう言って樹くんはお辞儀をした。
???side
…個人情報をまとめたファイルが置いてある。
それは恐ろしいほどの情報の多さで、私は思わず鳥肌が立ってしまう。
名前、年齢、身長、体重、出身地、学歴────他にも親族や過去などまでも書かれている。
この部屋から今すぐ抜け出したい。
…だけど、お姉ちゃんの言うことは正しいから。
だから、今はこれでいいんだ____。
コメント
5件
好きすぎてやっばいなうん(?) 不穏だなぁ…嫌な予感だなぁ…(( 書き方好き!!!((
あぁ…好き() ここまで読んで分かったよ。私は樹君を推s… 颯音さん…お父さんとお母さんは天国に…え、でもなんでやろ…交通事故? ???さん…依存?共依存…??嫌な予感~…