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えの🍏
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「ねえ元貴、俺って変なの?」
九年前の冬の日、若井がそう聞いてきた。
少し傷ついたような、そんな笑顔で。
その笑顔、今でも鮮明に憶えてる。
俺と若井の二人きりの時のことだった。
「….何、変って?どういうこと?」
その時に彼女もいた若井は、幸せそうだったし、不満もない仲良しカップルだったはずだ。
少し俯いて、目線を逸らす若井に、少し疑問を抱いた。
「ちょっと若井….、言わないと分かんないから。」
俺が少しだけ苛立ったような表情で詰め寄ると、若井が重い口を開いた。
「…..俺さぁ、この前彼女の友達から、変って言われたの。」
「….え?何で、」
「んー、俺が変なんだよとにかく。….あんま深いことは話したくないから。」
そう言って、またしゅんとため息を吐いた。
本当にショックの時の顔だ。
若井は、これ以上触れてほしくなさそうな、そんな顔をして俺の胸に寄りかかってきた。
そんな若井の頭を撫で、 そのままその話は終わった。
「冬だねぇ。….あ!ここ昔来た~懐かし。」
なんて笑う若井の横、小さく胸が揺れる。
その日から九年経ち、もうその話は忘れられたものになっていた。
俺にとっては、ずっと奥に残り続けているのに。
クリスマスだ、と鳴り響く歌。
俺みたいやつを傷つけるためか、わざとらしくきらめく街。
美しく、でも憎い。
「….元貴?なぁにどうしたの?元気ないね。」
なんで恋なんかしてんだろーなって。
いつも見ていたこの心配顔に、今はもう胸の高鳴りが止まらない。
マフラーに隠れる顔に触れたくて、つい手が出そうになる。
友達以上になれないことは分かっているのにな。
「….元貴、冬は嫌いなの?」
「別に、嫌いではないけどさ….。 」
「じゃあなんでそんなテンション低いの、笑。」
別にいいだろ、と呟き、若井から視線を逸らす。
少し呆れたように笑う若井。
九年前言った、あの言葉。覚えていないんだろうか。
「….ねえ若井。」
「ん?何?元貴。」
「….ああやっぱいいわ。 」
「え、何。気になるじゃん、笑」
冬は寒いから、好きな人とくっついていたい。
気になるって笑っているけど、九年前のこと、気にしてない訳じゃないよね。
時々思い出して苦しそうだもんね。
….なーんて俺の勘違い。
「ねーぇ若井、冬ってロマンチックだね。皆好きな人と一緒にいるや。 」
「んー?….そうだね。」
少し言葉が詰まった若井。
そんなところも愛おしい。
元彼女持ちの若井に、冬は敵なのかもしれないけどさ。
俺は大好き….なのかな。若井と同じくらい。
『冬の寒さに預けたら、全部奪っちゃいそう。』
そんなこと呟きながら、毎年冬は過ぎていく。
今年もそう….だと思っている。
いや違うな。….今年こそは、若井に気持ちを伝えなきゃだよな。
いつも弱虫じゃいけないよな。
「若井は、好きな人、いるの?」
若井の目がまん丸になって、少し寂しそうな顔をした。
そして、「いないよ、」と嘘を吐くようにため息を吐いた。
コメント
3件
おお、第2話…!若井と元貴の間にある“9年前のなにか”がすごく気になるな。元カノ持ちの若井が「変」って言われた話、元貴はまだ覚えてるのに若井は忘れてるフリなのか、それとも本当に覚えてないのか…。最後の「好きな人いるの?」「いないよ」って嘘つくトコ、若井の寂しそうな顔が切なすぎる。冬の寒さに預けて全部奪いたいって心情、すごく刺さったわ。続きが気になる🔥