テラーノベル
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嘘だよね。なんて言えないけど。
少し目を細めて、口を軽く結んだ。
どうして、そんな表情するのか。
「….若井?」
「….。んーん。いないよ、ほんとに。」
嘘だ、って言いたい。好きな人、いるんだろ?
九年前の、あの日みたいな顔で。
「….ふざけんな。」
小さくて、頼りなかった声は、若井に届かなかった。
そのかわり、若井の頬を、一滴の汗が伝った。
こんな寒い日に。汗なんてかくわけないのに。
意味がわからない。本当に。
「若井。 」
横にいてほしい。若井に悲しんだ顔、させたくないから。
ずっと若井と一緒にいたい。
好きな人、いてほしかった。
若井にあげるプレゼントは、全部ありきたりなもので。
俺だけがあげられるプレゼントって、ないのかな、って考えてた。
告白して、返事がどうとか。
ど直球に愛を伝えるのが、一番とか。
君に変わって世界が変わったとか。
全部ありきたり。
でも、ありきたりなもので、良いような気もする。
「元貴!」
会える回数は、忙しくなる度減っていく。
若井がいる国とは別、外国の場でも、人混みをつい見てしまって。
ふっと、若井が出てきてくれないかな、なんて。
そんなの、ただの妄想でしかないから。
冬の夜は綺麗で。
俺が思う、九年前の空とは違って。
はしゃぐ恋人。人前で照れていてもも、隠すことはなくて。
羨ましい、なんてダサいことを。
若井が、隣にいればなんでもいいなんて。
若井は、俺の声、聞こえてる?
「….ねぇ若井。今度、話したいことある。」
九年前の冬のこと、話したいから。
誤解が、まだ晴れてないから。
コメント
3件
うわ、めっちゃ切ない……。主人公の「好きな人いてほしかった」って気持ち、なんかもうグッと来たわ。寒いのに汗をかく描写とか、細かいとこで感情が溢れてるのが伝わってくる。九年前の冬の話、どんな誤解があったのか気になりすぎる。次話めっちゃ待ってる!
えの🍏
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