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小さい頃、物置に閉じ込められたことがある。犯人はお父さん。おもちゃを片付けない私へのお仕置だった。
物置は暗くて。土臭くて。とにかく嫌な場所だった。それのせいか、その日から私は狭い場所や暗い場所が大嫌いになった。
そんな私は今、異世界に居る。
「え〜っと…」
「今、どういう状況…?」
1人、声を零す。目の前には知らない街が広がっていた。外国の街並みのようででもなんか色使いが違う。しかも服装も違うせいか、そこら辺を歩いてる人達にガン見されている。
「とりあえず…」
「いや本当にどうしよ…」
行き場も無い私。1人になるために隠れようとして路地裏に入って何か起きましたってなったら確実に詰み。
「お嬢さん、どうかしましたか?」
そんな時、誰かから声をかけられた。振り返ると目の前には背の高いイケメンが…!こんなかっこいい人、見たことない。というか目の色がそもそも違うような…
「あの…僕の顔になんかついてます…?」
ジロジロ見ていたせいか、そんなことを言われてしまう。
「あ、違っ…」
「…すいません……」
言い訳が特に思いつかず、謝ってしまう。
「それでお嬢さんはどこから来たんですか?」
「それが分からなくて…」
そんな返事を返すと明らかに困っているような表情を見せた。
「あー…ちょっと待っててね」
そんな優しい声を私にかけ、少し離れた場所へ行く。凝視して見るに、何やら小さな魔法陣のようなものが見えた。
「何あれ…」
1人小さい声を零す。もしかしてここ、異世界?でもなんで…確かに異世界系漫画は好きだけれども。というか私は転移する前、何してたんだっけ?
「思い出したら原因分かるかな…」
そんな声を零すと
「お嬢ちゃん、思い出すって何をだ?」
とおじさんのような声が聞こえた。
「え?」
「記憶でも失くしたのかぁ?」
「違くて…」
「それよりいい服着てるね」
「どうだい?俺と────」
ペラペラと話すおじさんのテンポについていけず、困っていると
「僕の連れから離れてください」
とド低音ボイスの先程のイケメンお兄さんが助けてくれた。