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夜。桜は柊真の部屋に泊まりに来てるけど、もう日付は変わってる。
ベッドの上、並んで横になってるのに、桜はまだ起きてる。
スマホでイヤホン片耳、推しのボイスを小音量で聴いてる。
「……はぁ……」
小さな吐息。
その瞬間、イヤホンを引き抜かれる。
「ちょ、柊真――」
「……何回目?」
低い声。
感情を抑えてるのが逆に分かるやつ。
「え、な、何が……」
柊真は桜のスマホを自分の手に置いて、桜の顎を指で軽く持ち上げる。
「俺の前で、他の男の声聞くの」
近い。
声も、距離も。
「……桜、声フェチなの知ってる」
「分かっててやってるなら、悪い癖」
桜は顔が熱くなる。
「だ、だって……一人になると寂しくて……」
その一言で、空気が変わる。
柊真の手が止まって、少しだけ目を伏せる。
「……それ」
桜を抱き寄せて、腕の中に閉じ込める。
逃げ場ないくらい、しっかり。
「なんで俺に言わない」
「言えないよ……恥ずかしいし……」
耳元で、低く囁かれる。
「……なら、俺が言う」
一拍置いて。
「一緒に住め」
即断。
命令みたいなのに、声はやたら優しい。
「桜が寂しい夜、俺がいないの無理」
「他の声で紛らわすのも、許せない」
桜の背中に腕を回したまま、離さない。
「朝も夜も、全部俺の声でいいだろ」
桜の心臓、限界。
「……そんなの……反則……」
そう言った瞬間、柊真が小さく笑う。
ほとんど笑わない人の、貴重なやつ。
「反則でもいい」
「桜は俺の恋人だから」
額にキス。
唇じゃないのが、逆に甘い。
「逃げ場、用意しない」
「同棲。決定」
桜は観念して、柊真の胸に顔を埋める。
「……じゃあ……毎日声、聞ける……?」
「聞かせる」
即答。
「飽きるまで」
「いや、飽きないな」
耳元で、わざと低く。
「桜が好きな声で、ずっと」