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タイトル「その仕草はズルい」
深夜、スタジオの片隅。
楽曲制作の手伝いで遅くまで残っていた私は、気づけばソファでうとうとしていた。
「……ねぇ、大丈夫?」
優しい声とともに、そっと肩を揺らされて目が覚めた。
涼架さんが、すぐ目の前にいた。
「……あ、すみません……寝ちゃってました……」
「ううん。疲れてたでしょ。……俺のせいかもね。」
そう言いながら、彼は柔らかく微笑んだ。
その笑顔が、やけに近い。
そして、気づけば私の髪に手を伸ばし、そっと耳にかけてくる。
「……え……?」
「ねぇ、なんでそんなに無防備なの?」
その声が低く、ほんの少し熱を含んでいた。
私の心臓がドクンと跳ねる。
「……そんなこと……」
「首……弱いでしょ?」
「え、な、なんで――」
言いかけた言葉が、止まった。
涼架さんの唇が、私の首筋にすっと近づいて、
まるで確かめるように、息を吹きかけたかと思えば――
ぴちゃっ、と湿った感触。
「――っ!」
「やっぱ、反応するね……」
彼の舌が、ゆっくりと首筋を舐めた。
その動きは、意地悪なくらいゆっくりで、まるで“反応”を楽しんでいるみたい。
「や、やめて……」
「ん? どうして?」
「……そ、そんなの……変だから……っ」
「変じゃないよ。
君が可愛いから、ちょっと、試してみたくなっただけ。」
言いながら、今度は反対側の首に口づける。
唇だけじゃない。
舌先が、今度は肌のやわらかいところを確かめるように舐めてくる。
「……やっぱ、綺麗だね。」
「涼架さん……っ」
「声、震えてる。……感じてる?」
彼の手が私の髪を撫でながら、優しく肩を引き寄せる。
「……ねぇ、もう少しだけ、こうしててもいい?」
「……ずるいです、そういうの……」
そう呟いた私の耳に、彼はそっと囁いた。
「俺、結構本気なんだけどな。」