「おじゃましまーす……って、映画観てるじゃん」
ドアを開けると、部屋は薄暗くて、ソファには照が座っていた。
テレビの大画面には映画のイントロ。
聞き慣れない洋楽が静かに流れている。
「……ん。この前観たいって言ってたやつ。」
「ふーん」
脱いだコートを無造作にハンガーにかけて、無言で照の隣に腰を落とす。
画面に集中してる照の横顔を、そっと見つめる。
ちょっとくらい、こっち見てくれてもいいのに。
寂しくて、そっと身体を寄せた。
「……なあ」
「ん?」
「こっち、見てよ」
「映画観てんだけど」
そっけなく言いながらも、照は俺の肩を軽く引き寄せた。
腕の中に収まるようにされて、嬉しいはずなのに……どこか物足りない。
照の視線が、ずっとテレビだから。
「……別にいいけどさ、今日、俺……構ってほしくて来たんだけど」
「構ってるよ」
「それ、構ってるって言わねーし……」
ぼそりと呟いて、照の太ももに脚を絡める。
わざとスウェットの裾を引っ張って、素肌に触れるように足を滑らせた。
すると――
「……ったく」
照の片手がゆっくりと、腰に回ってくる。
シャツの裾から手が滑り込み、下腹部を撫でるように指が動いた。
指先がじわじわと熱を帯びて、呼吸が乱れる。
「……あ……ちょ、待って……」
「どうしたの?」
「……っ、そんな……急に……」
映画のセリフと重なるように、吐息が漏れた。
だんだんと照の指が深くなっていく。
だけど、照の視線はまだテレビに向いたまま。
「照……こっち見てよ……」
そう訴えても、返ってくるのは余裕のある吐息と、熱を帯びた指先。
パンツの上から撫でられるたびに、腰がぴくっと跳ねる。
「ん……っ、ひかる、やば……っあ、……」
「うるさい。声、でかいって」
「だって、ひかるが……あっ、ん、……」
いつの間にかズボンもパンツも下ろされて、ソファの上、太ももを割るように触れられて。
唇を噛んでも、漏れる声は止められない。
「……ふ、っ、あっ……ん、も……」
「……ふっかの声でセリフが聞こえない」
「は、あっ、ひかるがそんなんやるから、っ……!」
片手で、こんなに翻弄される自分が、悔しい。
悔しいのに、奥まで擦られるたびに震える身体。
呼吸が浅くなる。
頭が白くなる。
テレビの音なんて、もう一切、耳に入ってこなかった。