「はあっ…はあっ…」
ルイはひたすら山へと向けて走っていた。しかし、山の方向から四つん這いの巨人が走ってくる。
「嘘でしょ〜!?」
大口を開け、ルイを飲み込みにくる!しかし、ルイは瓦礫を使い、スキルを発動する。
「スキル大工!防壁建築!」
スキルを使い、壁を建築。それを巨人の口へ放り込む。巨人はそれを飲み込むが、のどへつっかえたらしく、のたうち回っている。
「今のうちっ…!」
そうして、ルイはとてつもない速さで山道へと突入した。
山道へ入ると、すぐキノコが見つかった。
「これだ!収納!」
ウィンドウを開き、採取したあとに収納する。さて、帰るかと振り向いたとき、巨人の群れがこちらを向いていた。
「うひいいい!?」
その時、真ん中の巨人が出てきた。
「オイ……人間…!」
「しゃべったあ!?」
「おれらのキノコに触れるな……!」
「えっ…、あなたたちの…!?」
その瞬間、横の巨人が腕でつぶしに来る。必死に避けようとする。巨人がそれをつぶし、辺りには土煙がまった。
「………イナイ」
鷹嶺ルイは、建築スキルで地面を掘り、近くの岩山へと逃げていた。
「なんでキノコのために…ここまで命使わないといけないのよ…」
その時、遠くからキリトたちが走ってきた。
「よかった…キノコ見つかったんだな…よし、野良馬を手なずけた。これで早く帰れるぞ…」
「うがぁぁああ!!」
「!?」
先ほど真ん中にいた巨人が四足歩行でこちらに向かってくる。
「ニンゲン!捕食するべき存在!!」
アリスの手招きで急いで茶色い馬に乗り込み、申し訳ないが噛んでスピードをあげる。しかしそこで判断をしくじった。馬があまりの痛さにキリトたちの列を外れ、ルイだけ孤立して走り始めた。しかもキリトとアリスはそれに気づいていない。
「お前!食われにくるとは!」
「違う違う違う違う!、やだああ!」
「!しまった!アリス!ルイが!」
「!……キリト、ルイに任せましょう」
「私は大丈夫キリト!!」
「くっ…!」
スキルには、職業スキル意外にも、戦闘で磨かれるスキルが2つある。剣士スキル、そして技術スキル。鷹嶺ルイのそれの上達は異様に速かった。
「技術スキル!!馬術!」
スキルを発動した瞬間、一瞬馬と通じ合ったかのような感覚になる。その感覚から戻ると、ルイは馬を加速させ、巨人をひきつけ、瓦礫の小屋に向かう。そしてすんでのところで切り返し、キリトの方向へ向く。その瞬間、巨人は瓦礫の小屋にぶつかり、小屋がくずれ巨人に降り注ぐ。その隙に全速力でキリトのところへ向かう。
「よくやりましたね!ルイ!」
アリスから激励を受け、照れる。まさか技術スキルがこんなに早く手に入れられるとはおもっていなかったので、ラッキーだった。
「えへへ…」
そうして一同は危険地区から帰り地図を作り上げた。その瞬間ウィンドウが開き、製図家スキルのレベル1が開放された。
「よーし、これで建築できるぞ」
しかし思ったよりも時間がかかってしまった。現在は昼の1時だ。あやめがログインするまであと10時間。まずは最初の平野に戻ったが、森が近くにあったほうが資材集めが楽そうなので、森の近くにすることにした。まずはキリトが木を切り倒し、それをアリスが運ぶ。それを一つ一つ設計図通りにログハウスを組み立てていく。これは何人も住めそうな家だ。キリトは30本ほど木を切り倒すと、建築に加わってくれた。3人ではさほど時間はかからず、シェアルームなどの部屋も2時間ほどで完成し、正式な拠点が完成した。家具は家具職業系のクエストをしないと作れないので、今は木のベッドで我慢だ。とりあえずシェアハウスの中に入り、キリトとアリスは夜6時まで、ログアウトするというので、3時間ほどは暇だ。あと一つほどはスキルを習得したいが……ウィンドウを開き、スキル習得条件を確認する。すると、栽培スキルというものが見つかった。野菜の種を街市場で買い、クワを作れば栽培スキルは習得できるらしい。食料が自給自足で作れるのは正直ありがたい。クエスト報酬でこの世界の硬貨ユピドーが100ユピドーもらえた。
「よし……行くか、買い物!」
そうしてルイは街市場のアテネブランへと向かった。しかしそれを黒い影がつけていた。栗色のショート髪の男はラジールといった。
(俺の名は盗人スキルを極めた天性の盗人(自称)ラジール。美人の初心者プレーヤー…街市場の路地裏とかで適当にひったくって弱みでも握ってやる…)
街市場へつくと、ポツポツとプレーヤーも見え始めていたが、やはりほとんどはNPCだろう。そうして八百屋が見えたところで路地裏へとルイは引っ張られた。
「へ!?」
「俺の名はラジール。天性の盗人だ!」
鷹嶺ルイにピンチが訪れる。
コメント
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キリトとルイ姉の絡み、好きかも😆