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猫さん蟹さん。

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猫さん蟹さん。

8 - #2 かんちがい?

♥

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2022年03月25日

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数分前













ピロンッと小さく音が鳴る。





外の皆の声で聞こえないと思っていたが案外聞こえるものだ。






ちらりと目を向けると公式LINEからの通知。



少しだけ、残念に俯くとタイミングバッチリにまたもや通知音が鳴った。












その画面を見ると、見慣れたアイコンが目に入る。



すぐさま俺はその所をタップした。












『新発売のかんかってきて。』



『り』










変換をするのを忘れたのか…。



そう思うだけで胸が締め付けられる。










「…変なとこで、馬鹿な奴…。」





はぁ…好きだなぁ。


恋人に…なれて…よかったかも。


いや、なれてよかったんだ。








あー…もう、俺何考えてんだろ。顔、あっつ。











そして俺は軽い足取りで、早歩きをしながら近くのスーパーに向かうのだった。















─────────────















『いらっしゃいまっせー。今日は…』





店内の冷えた空気を浴び、スピーカーから音が流れる。


広いスーパーへと来たので、新発売コーナーも設けられている。




新発売の商品がまとめられているとやはり、見やすいものでどこに何があるかが瞬時に分かった。















「新発売か…。どれだろう…。」



缶詰のコーナーには三つ置いてありどれも違う種類ものだった。








俺はそれをゆっくりと眺めることにした。


















──────────

















「ん?」










一つはサバ缶。


こんなものあの人は絶対に食べないであろう。









もう一つは蟹缶。



あー、多分これだろう。







そう思いその蟹缶に手をかけた。



その時、俺は目を見開いた。












「もしかして、これ?」

















──────────










『ピンク色のやつ?』






『うん。』












質問にすぐに答えてくれた。


よほど楽しみにしているのだろう。















だが、今はそれよりもこっちだ。














俺は何度もそれを見た。



だって、嘘かと思ったから。















「こ、これ…。」
















俺は多分今、口角が上がって気味悪がられているだろう。








けど、止まんないんだもん。



レトさんがこれを選んだ意味を考えると






















ヤバい。にやけの歯止めがきかない。




















これであってるよな。



蟹缶もピンク色っぽいけど赤だし。これしか、ピンクないしさ。














俺は蟹缶を持っていた手をくるりと回した。












カコンッと缶と缶がぶつかり、軽い音が鳴る。











その缶を見るだけで微笑んでしまう。









ピンク色で














黒猫のマークで












ちょこんとしたデフォルメの蟹のキャラクターがその隣に小さくあって。











猫缶なんだけど何処か俺達に似ている。











「あぁー………。」













俺は会計を済まし、小さな缶を袋に詰めた。










あぁ、余計に会いたくなってしまった。
















ふわふわした考えを頭に浮かべ、小走りで愛する人の元へと向かった。














「かんちがい?」 end





─────────────



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