テラーノベル
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穏やかな午後の光が部屋を包み込む中、童磨が先にゆっくりと目を開けました。腕の中で幸せそうに眠るしのぶの寝顔をしばらく愛おしそうに見つめた後、彼は枕元に隠しておいた小さな箱をそっと取り出しました。「しのぶちゃん、起きて。君にプレゼントがあるんだ」
耳元で甘く囁かれ、しのぶは長い睫毛を震わせて目を覚ましました。
「……あら、何かしら。こんな時に……」
寝ぼけ眼の彼女の前に差し出されたのは、色鮮やかなロクシタンのハンドクリームでした。童磨は丁寧にキャップを開けると、しのぶの白く繊細な手を自分の大きな掌の上に乗せます。
「君の手は、いつも薬を調合したり、刀を振ったりして頑張っているだろう? だから、僕が守ってあげたいと思ってね」
童磨は、クリームを彼女の指先に少しずつ載せ、体温で温めながらゆっくりと広げていきました。鼻をくすぐる上質なシアバターと、摘みたての草花のような瑞々しい香りが、二人の間の空気をさらに甘く変えていきます。
「……童磨、さま……」
しのぶは、自分の指を一本ずつ、関節の節々まで丁寧にマッサージする彼の優しい手つきに、胸の奥が熱くなるのを感じました。昨夜から今朝にかけて、自分を激しく求めたあの強引な手と同じものとは思えないほど、今の彼のタッチは繊細で慈しみに満ちています。
「どうだい? 気持ちいいかな。君の肌は、触れているだけで僕の心まで滑らかにしてくれるみたいだ」
童磨はしのぶの指先を自分の唇に寄せ、クリームの香りと共に柔らかな吸い口を落としました。
「……ふふ、香りがとても素敵ですね。それに、あなたの手が温かくて……。せっかく綺麗にしていただいたのですから、今日はもう、何もしないであなたに甘えてしまいそうです」
しのぶは、潤んだ瞳で彼を見つめ、塗り終えたばかりの潤った手で彼の頬を優しく包み込みました。
「いいよ。今日は一日、僕が君の執事になってあげる。それとも、またベッドの中で『可愛がって』ほしいかな?」
童磨が茶目っ気たっぷりに微笑むと、しのぶは赤くなった顔を彼の胸に埋め、幸せな溜息をつきました。ロクシタンの優しい香りに包まれながら、二人の午後はどこまでも穏やかに、そして深く溶け合っていくのでした。
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