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面白かっです! ありがとうございました!
「おはよう、2人とも」
掛けられた声に驚いて急いで起き上がる。
目の前には黒いフードのいつかのあの少年と、もう1人フードを被っている少年が立っていた。
「ここには2人とも来たことがあるね。待ってたよ」
優しい声色に困惑し、双方を見つめる。
確かに、ここには来たことがある。でも、その時は1人だったはず。
「あ〜!あの時の!久しぶりやね」
隣のおらふくんはどうやらどっちともあった事があるようだ。
「うん、、、じゃなくて!なんで2人がここに来たかを説明するよ!」
少し慌てたかのように矢継ぎ早に話す見たことない方を見る。
前は躱されたが今ならこの少年が何者なのか聞ける気がした。
ゆっくり口を開く。
「それより、、、君たちは何者なの?」
その言葉の後数秒沈黙が広がった。そして最初にそれを破ったのはフードの少年の一人。
「うん、どーせ説明するつもりだったから」
そしてお互いに目を合わせたかと思うと、同時にフードを脱ぐ。
「僕たちはね、、、、君たちだよ」
自分らとよく似た、いやそれ以上にそっくりの顔が出てきて瞠目する。
「僕はおんりー、こっちはおらふくん!君らと同じ名前だね!、、そりゃそーか、同一人物だもん!」
「紛らわしいから僕はりー、こっちはらぷって呼んでよ!お互いの愛称なんだ!」
自分によく似た深緑の髪の子、りーがおちゃらけたように言う。
似ているが、やはり幼く、そして性格が全然違う。
「僕らは、そうだね、別の世界軸の君らなんだ」
おらふくんに似た方、らぷはかなり落ち着いている。なんだか僕らの性格が入れ替わっているようだ。
「前に会った時、世界は何個もあると言ったでしょう?僕らは君らがさっきまでいた場所とはまた違う世界の”おんりー”と”おらふくん”なの!」
ドッペルゲンガーとも少し違うから性格は変わってくることもあるそう。
「前にいった自分は神様っていうのは嘘。ループを抜け出すヒントになるかもって、自分の正体を話すのは禁じられてたんだ、ごめんね」
「…まあ、それの説明はそれでいいとて、どうして僕らはこんな目に会う必要があったん?」
思っていたより落ち着いているおらふくんが問う。
「そうだね、ちゃんと説明しようか」
そう言ったらぷは1度目を伏せてからまたこちらを見て語り出した。
「まず、僕らは言った通り違う世界の君らなんだけど、実は僕らは死んでいるんだ。」
「そうそう!事故で二人とも死んじゃったの」
「それで、あの世にも行った。でも、二人ともお互いに生きてて欲しかったっていう未練があってね。でも、死んだ人の蘇生は出来ないから、未練を果たすためにまだ生きている自分、、、そう、君たちを助けるチャンスをかみさまにもらったんだ。」
途中でりーが割り込んできたのは置いといて、本当に目の前の2人は死んでいるのだろうか。
試しに腕を伸ばして触れてみると、普通に感触があり、掴めた。
どこか実感が湧かない。
「ああ、 ここは特別な空間だから僕らも生きているときと同じように具現化出来るんだ」
「そっか、じゃあループしてたのは、君たちが僕とおらふくんを守ろうとしたから?」
「うん、君たちも本当は死ぬはずだったんだけど、時間を巻き戻したんだ。でも直接的には僕らは干渉出来ない。だから君たちに頑張ってもらうしか無かったんだ」
本当にごめんと謝ってくる顔を見る。
自分、そしておらふくんをこんな目に合わせたことは本当に許せないけど、おらふくんにそっくりなその顔で謝ってこられたら謝罪を受け入れない訳には行かなかった。
「、、わかった、しょうがないで許せる問題じゃないけど、謝罪は受け入れる」
「僕もええよ。おんりーが危険な目にあったのは嫌だったけど、僕は君らを嫌いにはなれへんから」
「!ありがとう。」
「それより、聞いてほしいことがあるんだ!」
ほんわりした空気を切るようにりーが叫ぶように言う。
「なななんと!君たちが、元の世界へ戻れます!」
「へ?」
戻れる?元の世界に帰れるの?本当に?
未だ信じきれない僕の心を読んだかのように微笑んだらぷがいう。
「うん、君たちはここの記憶も全てリセットされて、死んだことも無かったことになって、元に戻れる。」
「そっちのおらふくんが本物の、同じ世界のおんりーにあって、二人とも死ななかったから、運命が変わったんだ!」
おめでとう!というりーをぼーっと見る。
開放されるんだ。ようやく。
「やったなおんりー!やっとループが終わるんや! 」
こちらを見て喜ぶおらふくんを見て、思わず抱き締める。
おわっと声が聞こえた気がしたが、無視してただおらふくんの身体を抱きしめた。
よかった、本当に。
「、、、ごめんけどそーゆーのは誰もいないところでやって」
はっと気づくと呆れた顔のらぷとにやにやしているりーがこちらを見ている。
「いーじゃん、らぶらぶ!」
「こら」
「あ、いや、、、それより!僕らが戻ったら君らはどうなるの?」
少し顔を赤くしたおらふくんが急いでらぷに聞く。
「僕らは未練を果たしたから成仏するよ。りーも一緒に行くからへーき」
だから安心して、という瞳は本当に未練などないような温かさがあった。
「そっか、気をつけて」
そう言うと2人はふはっと笑った。
「うん、おにーさんたちもね!」
りーがそう言った瞬間、周りが白い閃光でいっぱいになる。
おらふくんの手を握り目をぎゅっと瞑る。
一瞬空気が歪んだ気がした。
「、、あれ?」
「?おんりー?どした?」
「、いや、何でもない。」
先を歩いて不思議そうにこちらを振り向くおらふくんの元へ駆ける。
「もー、せっかくのお出かけなんだから、考え事なんて無しや!」
「ごめんごめん」
頭を撫でると膨らんでた頬は萎み、途端にご機嫌そうな笑顔になる。
なんだろう、長い夢を見てたような、、不思議な感覚がした。
「、、、まあ、いいか」
僕にはおらふくんがいればそれでいい。
「何が?」
「ううん、何でもない 」
隣に幸せそうな君がいるならば、僕は幸せだ。
脅威の本編2500文字!いつもの2倍だ…カタ:(ˊ◦ω◦ˋ):カタ
えーこれにて本編は終了となります!ここまで読んでくれて、応援してくれた皆様、本当にありがとうございました!
ちょっと変な終わり方になってしまったかも知れませんが、お許しください。
後日、番外編やあとがきを投稿するつもりです!
なんも考えずに書き始めたこの作品がまさかこんなに読んでもらえることになるなんて、きっと最初の私は思ってなかったです。
思ったより話が複雑化してしまい、頭に?が浮かんだ人もいると思うので解説や世界線もちょっとだけあとがきで書くので、もう少しだけお付き合いしてくれると嬉しいです!
では、ばいれも!