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「ん、朝か。」
ロンは窓から差し込む朝の光によって目が覚めた。むくりと体を起こし、眠たげに目をこする。少しして、ベッドからようやく這い出て、寝室と隣接しているリビングに向かった。リビングのキッチンで、朝食の準備をする。
ロンはトースターに二枚、パンを入れた。その間にフライパンでハムエッグを焼いていた。ちょうどパンも焼き上がり、パンにレタスとハムエッグを挟み、サンドイッチにした。
テーブルにサンドイッチの乗った皿を置き、席につく。少し食べず進めていると、ある事が気になった。今日の予定だ。
「今日仕事あったっけ…?」
ロンはそう呟き、カレンダーを見た。今日の欄には休日と書いてあった。それを見るなり、ロンはさらに呟いた。
「なにもする事ないなあ……まあなんか適当にそこらへんぶらぶらしようかな…。」
ロンは今日のダラダラプランを計画した。そのプランはただ、家の近くの大きな公園でぶらぶらするだけというプランだった。
朝食を食べ終え、ロンは顔を洗い、歯を磨き、寝巻きから服を着替え、ボサボサに乱れた髪を整えた。
「よし準備できたし、行くか。」
ロンはしっかり家の消灯と戸締りをし、公園に歩いて向かった。その公園は、子どもが遊べる遊具がたくさんあり、寝っ転がれそうな小さな丘があり、丁寧に整備された並木路があるとても大きな公園だ。休日はもちろん、平日でもたくさんの人がいる。
「そろそろかな。」
ロンは公園についた。公園の中央広場に向かうべく、並木路を歩いた。並木路を歩いていると、突如としてロンの足元に謎の穴ができた。そこに吸い込まれるようにロンは真っ逆さまに落っこちていった。
「うわあぁぁぁあ………」
「いてて…」
ロンは尻餅をつきながらも、辺りを見渡した。4メートルほどの草が生い茂り、花の茎は大蛇のように太くうねり、その先っちょには、直径10メートルほどの花を咲かせていた。ふと、ロンはお尻の下の柔らかい感覚が気になり、目を落とす。そこには身長169センチのロンの3倍くらい大きな花びらがカーペットのように広がり、ロンのクッションになっていた。
「な、なんだこれ?」
ロンはその光景を見て悟った。ここは明らかに先ほどまでいた世界とは違う世界だと。
「とりあえず、俺どうしたらいいの?」
ロンはどうすればいいのかわからないまま、その巨大な草むらを進んだ。行き当たりばったりでとても不安だった。1時間ほど経っただろうか。ロンはとても疲れていた。実際なら、今ごろ公園の小さな丘でゴロゴロしていただろうに、穴に落っこちたせいでとても疲れていた。
「あぁ……疲れたぁ…。あっ、ちょうどいい感じの茎?がある。」
ロンは巨大な茎に腰かける。まるで公園のベンチに腰かけるように。少し休憩して、頭が整理されたのか、ロンは冷静になれた。そしてある考えがよぎった。
「もしここが別世界ならば、ゲームで出てくるようなモンスターとかいるんじゃね……?」
それはゲーム好きのロンが考える、いわゆるゲーム脳の考えだった。
ロンのその言葉を神が聞き入れたのか、それとも偶然か、ロンの目の前の茂みが揺れた。その大きな草の根本だけが小さく揺れた。そこを怪しげに見つめていると…
「放浪者め〜〜!!」
と、何者かが突進してきた。
「うわっ!!」
ロンは咄嗟に避けようと立ち上がり、声を上げるが、避けきれず、ぶつかる。勢いよく尻餅を地面についた。今日二度めだった。しばらくして、ロンが顔を上げると、そこには盗賊のような服装をして、軽装を身にまとい、腰には短剣を納め、赤いスカーフをした女の子がロンと同じように尻餅をついていた。
「いたたぁ……」
ロンは聞いてみた。
「あの…きみは…?」
すると彼女は眉間に皺を寄せ、こちらを睨み、いった。
「…っ!放浪者になんか言う必要ない!!」
ロンは困惑した。
「放浪者…?とは?俺はそんなんじゃないですよ?」
それを聞いた彼女は、さらに殺気高くなる。
「だってあなた珍しい服装してるじゃない!それに、そのボロボロのズボン!何年も履き替えてないからそうなってるんじゃないの?!」
ロンはさらに戸惑った。
「……俺は放浪者なんかじゃないです。このズボンはここに落っこちてきた時にあいたものです。」
彼女は怪しむように、そして心配するようにいった。
「落っこちてきた…?あなた、もしかして…!あの花から落っこちてきたの?大丈夫?骨、折れてない?」
ロンはそれを否定して言った。
「あそこからじゃなくて、謎の穴から落っこちてきたんです。たぶんこの服装は向こうじゃ普通なんですよ。でもたぶんここは向こうとは別世界なんです。」
彼女はさらに怪しんだ。しかし、母からの言い伝えを思い出した。
「謎の穴…?なに言ってるの…?あっ、でも聞いたことあるかも。この世界が危機に晒されているとき、別世界から救世主が現れるって。その救世主を【召喚者】と呼ぶって聞いたことある気がする。まさか……あなたが……?」
ロンはもう頭がパンクしそうだった。
「もうよくわかんないです。」
彼女は少し悲しい顔をして、ロンと目を合わせた。
「すみませんでした…見た目だけで勝手に放浪者と決めつけてしまって…私の早とちりあなたに、迷惑をかけてしまって……初対面の人とは落ち着いて、関わる事が大事ですね…。」
ロンはいつもの真顔に戻った。
「本当ですよ…ですが、そこまで気にしないでください。特に怪我もしていませんし。」
彼女は両膝をつき頭を地面に打ちつけ続けている。心配になる程勢いよく。
「ごめんなさい、ごめんなさい!!本当にごめんなさい!!」
ロンは少し驚いて言った。
「流石に心配になるからやめてもらえる?で、
改めて聞いてもいいかな?きみは何者なの?」
彼女は、少し安心したような顔に戻り、しかし顔は土で汚れたまま。
「私?私はナズナ!この森の中にある集落の小さなギルド【ホロウシャ】に所属してるの。そのギルドではこの森の放浪者を無力化するのが仕事なんだ。放浪者はみんな、金を盗んだり、食べ物をぶんどったりする、悪者だからね!誰かがやらないといけないの!リーダーは、アイって言う精霊弓使い。とっても強いんだ!まあ他のメンバーはもし私のギルドに来たら、教えてあげる。」
ナズナは誇らしげに自分のギルドについて簡潔に語った。ロンはその話を聞いて、やっぱり
ここは魔法とかあるファンタジー世界だと悟った。
「とりあえず、この森を案内してあげようか?見た感じあなた、武器持ってないじゃない。そんな状態だったらスライムにも負けちゃうわ。だから、とりあえず村までは案内するわ。ちゃんとついてこないとおいてくからね!」
ナズナがそういうとロンはその後をついて行った。こうして、ロンの冒険が始まったのだった。
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