テラーノベル
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ネッチャ・・・ネッチャ・・・
粘りのある独特の音が厨房に響く、赤い薬念がジンの手の中でゆっくりと混ざり合っていく
「最後にこの甘エビとイカの塩辛が・・・コクとまろやかさを出すんです」
さらにミキサーにペーストした甘エビとイカの塩辛を咥え、入念に混ぜ合わせる
ジンの額からは、うっすらと汗がにじんでいる、その一言一言を丁寧に説明するジンの姿に、桜は何か胸に迫るものを感じた
今、彼は真剣にうちの親族たちと向きあってくれている
「なるほど〜!」
「そういうことか!」
あちこちから感嘆の声が上がった、もう桜は可笑しくてダメだった、あの「堅物CEO」と会社では恐れられている彼が・・・親友の奈々は彼のことを「孤高のターザン」と呼んでいる
そんな彼が今は大勢の親戚に囲まれて、キムチ教室を開いているなんて、誰が想像できるだろう
桜はジンにバレないように、後ろの隅で必死に笑いをこらえた、ここに来てから、彼の色んな一面を見た、お酒が強い彼、そしてなんと彼はキムチまで作れるのだ、ますます彼を好きになりそうな気がした
するとジンが厨房の隅の方にいる桜に気が付いて、少し困った顔をしながらもニッコリ微笑んだ
―ああ・・・なんて優しい笑顔・・・愛しいな・・・―
桜の心はとろけた、演技だとわかっていても、今の自分は彼の妻で彼にとって唯一無二の存在だ
そして自分はこんな風に彼に笑顔を向けられただけで、口を半開きにしてうっとりと見つめてしまう
思考力なんて吹き飛ぶ、キャリアウーマンの女をことごとく弱体化させるおそるべし力・・・パク・ジンパワーだ
これからはどんな一面を見せてくれるのだろう、たとえ偽装のひと時でも今はこんなに楽しい
―やっぱり連れて来てよかった—
桜はそう思って、キムチ教室の生徒の一人になりきって、叔母さんたちの後ろからそっとジンを眺めた
意外にも、大きな体のジンの手作業は細かく、ヤンニョムを白菜に丁寧に塗り込んでいく
一枚、一枚、まるでその仕草は白菜に愛情を込めているようだった、葉の間に指を滑り込ませ、隅々まで薬念を行き渡らせる、その手つきは優しく、そして手慣れていた
―亡くなったお母様のお手伝いとか・・・よくしていたのかな?それともただのお料理好き?子供の頃のお話をもっと聞きたいな・・・―
桜は叔母に囲まれている彼を見ながら色々思いを巡らせた
コメント
2件
桜ちゃん妄想が膨らむねー(*´˘`*)♡ジンさんはきっと素敵な旦那様になってくれるはず😊このままお願いします🙏🙏
これはもう半年後の離婚なんてありえないわね🤭 島の人たちの心もつかんじゃったもんね〜😁 にしてもジンさんあなた最高よ!!!