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月の信託

13 - 第13話自分の気持ちがわかるかもしれない。

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2022年10月08日

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を悩ませる問題の多くは、私がその問題に真剣に取り組まないから起きるのだ。

自分が望んでいることと違うことをしてみたらどうか? そうすれば自分の気持ちがわかるかもしれない。

自分の本当の望みは何なのか、よく考えてみることだ。

自分が何をしたいのかわからない時は、他人が何をしているかを見るといい。

何かをする時、それが楽しいことであれば、それはきっとうまくいくだろう。

だがもし苦痛を伴うものであった場合は、その苦しみから逃れるためにあらゆる手を尽くして抗う。

この世には二つの顔がある。それは外面の顔と内面の顔。

内なる自分に気づき、それに向き合える人間は少ない。

しかしそれが出来た時こそ真の自分を知ることになる。

それこそが人生で最も価値のあることだと信じている。

だから俺は、自分を偽り続けた。

本当の自分なんてない。そう思っていたから。

自分がどんな顔をしているのかさえ忘れていたから。

でも、本当は……。

*****

「あーあ、今日も学校行きたくねえなぁ」

俺の名前は佐藤太郎。どこにでもいる普通の高校生だ。

さて、ここで一つ質問したい。『普通』とは何か? みんなと同じことをすることなのか? だとしたら答えはノーだ。なぜならば、『同じことしかできない奴』のことを世間一般では『つまらない人間』と呼ぶからだ。

例えば、クラスで人気のある男子がいたとする。そいつは常に笑顔を絶やさず誰に対しても優しく接するいわゆる『いい子ちゃん』だった。

一方で女子からはモテており、いつも違う女の子を連れ歩いていた。

そんなある日、クラスの人気者であるはずの男がとある一人の女生徒に告白をした。男は彼女にフラれて以来、まるで別人のように変わってしまった。そして彼女はその日から学校にも来なくなったのだ。

クラス中がざわつく中で担任教師から告げられたのは、彼女が転校するということだった。しかし誰も納得していない様子だった。そんな中、彼と仲の良い少年が彼に声をかけた。

「なあ、どうしてあんなことを言ったんだよ?」

「ああ?俺が何を言おうとしたのか分かってんじゃねえかよ」

「だからだよ!なんでわざわざ傷つけるようなこと言ったんだよ!」

「お前には関係ないだろうが!!」

そう言って彼は教室を出て行った。

「……くそったれ……」

彼の言葉の意味を理解していたクラスメイト達は複雑な表情を浮かべている。中には涙を流して嗚咽を漏らしている者もいた。だがそれも無理はないことだ。何故なら彼らは全員彼女と友達同士であったからだ。特に親しかった者はショックが大きかったようだ。

その日の放課後、彼を呼び出したのは親友と呼べる存在の男だった。彼は男の言葉をある程度予想していたようだったが、それでも衝撃を受けたようでかなり動揺していたが何とか平静を保ちつつ男に問いかけた。

「どういうつもりなんだ?彼女をフッたことじゃなくて、何も言わずに転校させたことに対して聞いているんだけどさ」

「別にどうもしねーよ。ただ単にムカついただけだ。アイツのことが好きだって言う割には何もしてなかっただろうが。それなのに他の奴らが告白した途端に手のひら返しやがって。しかも振られてからずっと引きずっているとか情けなさすぎだろうが」

「……そうかもしれないけどさぁ……」

呆れた様子で吐き捨てた俺に対し、どこか気まずげな雰囲気を見せる美樹彦。だが俺は構わず言葉を続けた。

「それにお前はもっと怒るべきだと思うぞ? あいつがどういう人間なのかよく知っているくせにあんなこと言うなんてどうかしていると思うんだけど?」

「うぐっ!?」

その一言が決め手になったのか、美樹彦は大きく肩を落とした。どうやら自覚はあるらしい。

「あ~うん……そうだよね。やっぱり僕が悪いんだよねぇ……」

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