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理仁が撃たれたと病院に運ばれてから約二日が過ぎ、ようやく理仁は意識を取り戻した。
「理仁さん!」
「……朔……」
「覚えてますか? 理仁さん、撃たれたんスよ? それで病院に運び込まれて……」
「ああ、そうか。少しヘマしちまったな……。しかし、何故お前がここに?」
「心配で駆けつけたに決まってるじゃないっスか!」
「そうか……それじゃあ、まさか真彩や悠真も?」
朔太郎や翔太郎は真彩や悠真の安全確保の為に屋敷へ残して来たはずで、その朔太郎が来ているという事はもしかしたら真彩や悠真もここへ来ているのではと直感した理仁。
「その、悠真は学校だったし、真琴くんや他の組員たちに任せているんスけど……姉さんは理仁さんの傍に居たいと連れて来ました」
「何やってんだ? 真彩は安静にしてなきゃ駄目だと、あれほど話したよな?」
「分かってます! お願いされたけど、悩みました。それでも、真彩さんはどうしてもと……」
「……悪い。朔のせいじゃねぇよな。それで、真彩は?」
「それがその……理仁さんが一度生死を彷徨っていた時に姉さんも倒れてしまって、今はこっちの産婦人科に入院してます」
「何だって!? おい、今すぐ俺をそこへ連れて行け!」
真彩が倒れて入院している事を知った理仁はまだ安静にしていなければならない身体を無理やり起こし、繋がっていた点滴などを無理矢理外してベッドから降りようとする。
「駄目ですよ、理仁さん! まだ安静にしてなきゃ!」
「うるせぇ! 俺の事よりも真彩だ! いいから早く――」
必死に止めようとする朔太郎を押し退けた理仁が騒いでいると、
「おい鬼龍! お前、ここは病院だぞ? 子供みてぇに騒いでんじゃねぇよ」
この病院の医院長で医師の中城 真仁が眉間に皺を寄せながら翔太郎を引き連れて病室へ入って来た。
「中城さん! 俺はこんなところで呑気に寝てる訳にはいかねぇんだよ! 頼むから今すぐ行かせてくれ!」
朔太郎に止められひとまずベッドの上に座ったままの理仁は、病院から出る事を許可して欲しいと懇願する。
「あのなぁ、お前、一回心臓止まったんだぞ? 正直危険な状況だったんだ。少なくとも、後二、三日は安静にしてろ。経過次第では一日くらい退院早めてやるから」
「無理言ってんのは承知の上だ。一時的にでもいい、頼むから、真彩の傍に行かせてくれ!」
中城はすぐに退院させろという願いに首を振らないものの、一時的にでもいいと言う理仁の言葉に少し悩む素振りをした後で、
「……ったく、本当頑固な奴だな。おい海堂兄弟、コイツが無理しねぇようしっかり見張れるって約束出来るか?」
翔太郎と朔太郎に理仁が無理をしないように見張れるかを確認した。