テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
ブブーッ
スマホに振動がなった。
今は自宅で荷物を置いて、桃野の家に向かっている最中だけれど、なんだろう。
[町をバイクで暴れまわってるやつがいるらしいよ!学校から早めに家に帰るように親たちに連絡が入ったみたい。葵今どこにいるの?]
黄喜からのラインだった。
[今、家帰る途中だけど。]
桃野の家に向かっていることは伏せて、早歩きで道を引き返す。
[そうなの?すぐ家帰りなよー?][りょーかい。]
すると、近くで激しいエンジン音がした。
噂をすればバイクが来たのだろうか。
「青野君!危ないよっ!!!!」
スマホを片手に早歩きする青野君を見つけた。よかったー、まだバイクにひき殺されたりなんかしてなくてよかった。
で、でもっ、もうバイクのエンジン音が近くまで聞こえる…
結構走ってきたから、私の家はもう近く。
私は青野君の手を思いっきり掴んで走った。
めっちゃ疲れる、息切れする!
で、でもっ。
アニメで見たっ、人は心が原動力だーって!
だから、危ないと思えば足が勝手に動くんだ。
だんだんと足にある力がすり減っていくのは分かるけど。
「お、おい。桃野…?」
驚きの声を発する青野君を尻目にどんどん走ると、家が見えてくる。急ブレーキをかけて、急いで制服のポケットから鍵を出した。
ガチャッ
鍵を開けて、ドアを思い切り開ける。
バタリ
「はぁーっ。」
急に体の全ての力が抜けて、玄関に倒れ込んだ。
「えーっと…青野君、鍵かけてっ。一応危ないから。」「お、おう。分かった。てかお前大丈夫なのか?」「これで大丈夫に見えるなら、青野君の目は節穴ねっ。」「いや……すまん。」「…………私10分休憩したら、ピアノ始めるか。」「おっけー。」
次の日。
いつも通り学校に登校したが、教室に入るのを一瞬躊躇した。
教室の中は、なぜかぴっしりとクラスメイト(しかも、私以外)が揃っていた。
それを見て冷や汗をたらしていると、ぴったりと蓮二と目が合い、
「あっ、望雲おはー。」
普通に声を出して普通に手を振られたので、クラスメイトの視線はドア越しで全員私にピシリと向けられる。
そんな目をすると、余計入りにくいわ!
苦笑いをすると、蓮二がひらひらとこちらに手招きをしてきたので、なんとか教室に入れた。
「お、おはよう。みんな、どうしたの?」「桃野ちゃん、おはよう。お母さんとかから聞いてない?今日、緊急朝会だってよ。」「えっ?」
「みなさん、急に集まってもらってすみません。ですけれど、さすが画良歩瑠学園の生徒達です。すぐ集まり、しっかり整列できていますね。では、今から朝会を始めます。」
校長先生が、重い足取りで教壇に立った。
なに?なになになになに怖い怖い、今から何を言われるの?まさか閉校とかじゃないよね?
「えー、みなさんおはようございます。今日はとても大事なお話があり、この場に急にみなさんを集めさせました。ごめんなさいね。」
悲しげな笑みを見せる校長先生。
えーうそっ。ほんとにガチめにヤバそうな話なんだけど。
「来月を持ちまして、この画良歩瑠学園は、」
確定演出きた?
「霧菜学園と統合いたします。」
「はっ?」
私の声と共に、体育館中にどよめきが交えた。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!