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「いま調べてみたんだけど、霧菜学園って……」「ちょっと、学園内ではスマホ禁止じゃない?」「知ってる。今回だけ大目に見てくれ。」
おにぎりをほおばって、「すまん」という目で見てくる蓮二。
昼休み、というか画良歩瑠学園はなぜか屋上は四六時中貸し切り状態。
なので、天気のいい日は蓮二に連れ出され、屋上で弁当を食べさせられる始末(まぁ別にいいけどさ)。今日もそれと同じだ。
「っていうか、それって「むさい」って読むの?今知ったわ。」「いや、校長先生も言ってたやろ。」「覚えはあるけど、話の始めが完全に閉校のフラグだったから、そん時頭真っ白で…」「それ言い訳になってんのか?てかお前食うのはえーな。」「蓮二が遅いんでしょ。」
私はサーッとした目線でそれぞれの弁当箱を見る。
蓮二はまだおかずも食べかけ真っ只中。デザートのミカンは日光に照らされて、溶けないけど溶けちゃいそう。に対して私は弁当箱はからっぽ。デザートの桃もあと一切れ。
「まーゆっくり食べればいいだろ。んで話戻んだけどさ、霧菜学園って、画良歩瑠学園って結構ライバルかんけーの学園らしいんだ。」「え?」「画良歩瑠学園の校長と霧菜学園の校長は、どっちも家系でずっと校長やってるらしいんだけど、昔からお互いバチバチらしい。」「えぇ?そうなんだ。なにか昔あったのかな?」「どーだろうな。」
キーンコーンカーンコーン……
話していると、昼休み終わりのチャイムがなった。
「うわ、もう弁当の時間終わりかよ!」「蓮二………まだ5分の2くらいしか食べれてなくない?」「………」「霧菜学園のことなんか喋ってるからよ。だいたい統合先の学園のことを調べたって、なんにも変わらないでしょ。」「いや、そういう意図では…あ、もう戻るぞ!残りは家に帰ってから食うわ。」「おっけー。」
「でも……!」
教室に戻る最中に、困ったような声がした。
蓮二と2人で首をかしげながら、声のある方へ向かう。
「もう仕方ないじゃない。私が下した判断よ。それに生徒達にも統合は伝えてあるし、今さら撤回できないわ。」
廊下の突き当たりから顔をのぞかせると、校長先生が曇り顔で誰かに電話している。
「もういい!紫恩のバカ!」
ついにはキャラ崩壊したように捨て台詞をはき、校長先生は電話をきった。
その瞬間、校長先生は私と蓮二と視線がぱっちりとあった。
「「あ」」
「誰と電話していたんですか?」「あぁ、私の親戚なん_ン゙ン゙ッ゙、コホン!電話していたのは、私の親戚で、この学園を支えてくれている子でね……。今回の統合·廃校のことについて言及されていたのよ。」
キャラが戻ったようにせきばらいをしてから、校長先生は電話のことを話した。
「ちなみに…聞いていいですか?」「?」「ど、どうして、画良歩瑠学園は霧菜学園と統合になったんでしょうか?」
蓮二ものんきな口調を抑えて、丁寧に聞いた。
キーンコーンカーンコーン……
授業始まりのチャイムがなった。
「ちょっと、教室戻るよ!」
私は蓮二の手をひいて、教室へ駆け出した。
廊下にコツコツとした冷たい音がなった。
時は放課後、張り詰めた空気の中、校長室に2人の女性が立っていた。
「電話の次は、実際に会いに来るなんてね。どれだけしつこいの、紫恩。」「あなたが嘘をついていると思ったからよ。電話では私が下した判断やらなにやらペラペラ喋っていたけど、あなた達採鳥家が代々ライバル関係にあたる霧菜学園から、自らその身を差し出すなんてバカな話と思ったの。」
色羽に辛辣な言葉を向ける女性のスーツにある名札には、達筆で「画良歩瑠学園副理事長·藤貴紫恩」と書かれている。
「この藤貴紫恩の意見に、なにか反論は?」「…相変わらず自分に自身があるね。まー、紫恩の言う通りかな。」「………!」「統合の判断は、私が下したものではないわ。」「……っていうことは、画良歩瑠学園の統合を決めたのは_」「霧菜学園の校長、黒白灰亜よ。」
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