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最初の死体は、朝の教室で見つかった。
窓際の席。
机に突っ伏したまま、動かない。
誰も最初は気づかなかった。
ただ寝ているだけだと思ったからだ。
ホームルームが始まり、担任が名前を呼んだ。
担任「……佐伯?」
返事はない。
担任が肩を揺らした瞬間、教室が静まり返った。
佐伯の口元から、黒い液体が机に垂れていた。
血だった。
クラスメイト(女子)「きゃあああ!」
教室が一気に騒がしくなる。
俺はただ、机の上を見ていた。
そこにコップが置いてあったからだ。
透明なガラスのコップ。
半分ほど水が残っている。
クラスメイト(男子)「毒……?」
教室がざわついた。
毒殺。
そんな言葉が飛び交う。
警察が来て、教室は封鎖された。
俺たちは廊下で待たされた。
クラスメイトたちは落ち着かない様子で話している。
クラスメイトA「自殺じゃない?」
クラスメイトB「いや毒とか怖すぎだろ」
クラスメイトC「誰か入れたのかな」
誰か。
その言葉がやけに重く聞こえた。
俺はふと、さっきの机を思い出していた。
コップ。
そして、もう一つ。
佐伯の手。
机の上に、だらんと置かれていた。
右手。
指先が、水滴で濡れていた。
俺はそれを見たとき、少しだけ違和感を覚えた。
でも、その時は理由がわからなかった。
昼過ぎ。
警察が事情聴取を始めた。
クラス全員が順番に呼ばれていく。
俺の番が来た。
教室の後ろに椅子が二つ置かれていた。
刑事がノートを開く。
刑事「佐伯くんと仲は?」
俺「普通です」
刑事「最後に見たのは?」
俺「朝です」
刑事はペンを走らせながら頷いた。
刑事「朝、教室にいた人は多いみたいだね」
俺「はい」
刑事「誰か不審なことは?」
俺は少し考えた。
そして首を振った。
俺「特には」
嘘だった。
でも確信がない。
刑事はノートを閉じた。
刑事「ありがとう。戻っていいよ」
席を立つと、教室の中が見えた。
佐伯の席。
机の上にはまだ、コップが置いてあった。
警察が触っていないのだろう。
水が少し揺れていた。
その時。
俺の頭の中で、朝の光景がもう一度再生された。
佐伯の体。
机。
コップ。
そして。
手。
——あれ?
俺は立ち止まった。
なぜ、あの時。
右手が濡れていた?
もし毒がコップに入っていたなら。
普通。
コップを持つ手は——
…これ以上はやめておこう。