テラーノベル
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俺が気づいた違和感は、誰にも言わなかった。
いや。
言えなかった。
もし言ったら、変に思われる気がしたからだ。
右手が濡れていた。
それだけのことだ。
でも、どうしても頭から離れない。
廊下で待っているクラスメイトたちは、まだざわざわしていた。
クラスメイトA「毒ってマジ?」
クラスメイトB「ニュースになるよな」
クラスメイトC「怖すぎだろ…」
その中で、さっき目が合ったクラスメイトがいた。
そいつは、壁にもたれて立っていた。
クラスメイト(?)「お前さ」
突然、話しかけられた。
クラスメイト(?)「佐伯のこと、どう思ってた?」
俺「……別に」
そいつは小さく笑った。
クラスメイト(?)「だよな」
そう言って、視線を教室へ向けた。
クラスメイト(?)「でもさ」
クラスメイト(?)「人って簡単に死ぬよな」
俺は何も言わなかった。
その言葉が、妙に気持ち悪かったからだ。
やがて刑事が廊下に出てきた。
刑事「今日はもう解散だ」
刑事「ただし、しばらくは学校に警察が来る」
クラスメイトたちはざわつきながら帰っていった。
俺も帰ろうとした。
その時だった。
ポケットの中で、スマホが震えた。
通知。
知らないアプリ。
画面を開く。
そこには、一行だけ書いてあった。
「一人目、完了」
俺は固まった。
意味がわからない。
すぐにアプリを閉じた。
でも。
指先が震えていた。
帰り道。
頭の中は、ずっと同じことを考えていた。
佐伯。
コップ。
右手。
そして。
左手。
家に帰ると、母さんが台所にいた。
母「おかえり」
俺「……うん」
母「学校、大丈夫だった?」
ニュースはもう出ているらしい。
俺「うん」
母さんは少し心配そうな顔をした。
母「あんまり無理しないでね」
俺は部屋に戻った。
ベッドに座る。
ふと、机の上に目がいった。
ノート。
開きっぱなしだった。
俺は近づいた。
そして。
心臓が止まりそうになった。
ノートのページいっぱいに。
文字が書かれていた。
何度も。
何度も。
同じ言葉。
次は二人目
次は二人目
次は二人目
俺は椅子を引いた。
後ろに下がる。
そんなもの、書いた覚えはない。
でも。
その字は。
どう見ても。
俺の字だった。
その時。
頭の奥で、声がした気がした。
静かな声。
まるで。
もう一人の自分みたいに。
「気づいた?」
背筋が凍った。
「まだ始まったばかりだよ」
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