テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#TL
瀬名 紫陽花
14,533
#BL
多 動 症 .
30
「へ……?」
「俺、一応男なんだけど」
彼の整った顔が、すぐ目の前にあった。
昼間の優しい幼馴染の顔ではない。
男の、それも獲物を狙う猛獣の目だ。
私は気圧されながらも、引きつった笑みを浮かべた。
「えっ?あぁ、でも叶人くんだし!」
「…さっちゃんって、本当に無自覚に男を煽るんだね」
「あ、煽るって…何のこと……?」
叶人くんの目が、冷酷なまでに鋭くなる。
彼の美しい眉間に深い皺が刻まれ、形の良い唇がぎゅっと噛み締められた。
「……俺のこと、全然『男』として見てないんだなって」
「そ、そりゃあ!だって、小さい頃からの幼馴染だし…何より、お互いに異性としては見ないでしょ?だから、叶人くんには安心感しか湧かなくて」
彼を安心させようと、満面の笑顔でそう答えた。
しかし、その言葉を聞いた瞬間
叶人くんの顔に、酷く切なげな表情が浮かんだ。
「……異性として見てない、か」
彼は低く呟くと、艶っぽい笑みを浮かべた。
「じゃあさ……こうされても、まだ『安心だ』って言える?」
「え?」
次の瞬間、私の視界が反転した。
強引に肩を掴まれ、押し倒される。
背中にベッドの柔らかな衝撃を感じたと同時に目の前が叶人くんの端正な顔で塞がれ───
唇に柔らかくて、驚くほど熱いものが触れた。
「──?!」
頭の中の全細胞がフリーズする。
え?これって、もしかして、キス……っ?
嘘、叶人くんが、私に……!?
混乱し、パニックを起こして逃げ出そうとする私の身体を嘲笑うかのように
彼の大きな手のひらが私の後頭部をがっちりと固定し
もう片方の手が私の腰を抱きすくめて完全に自由を奪った。
「んぅ……っ!?」
さらに深い、狂おしいほどのキスが降ってくる。
隙間の空いた唇から、彼の熱い舌が滑り込んできて
私の口内を容赦なく蹂躙し、絡め取っていく。
大人の男の、強烈なフェロモンとアルコールの香りが鼻腔を突き抜け
頭の芯がジンジンと痺れていく。
(う、嘘…動けない……っ)
舌を弄られ、吸い上げられる感覚に、私の身体から完全に力が抜けていく。
抵抗しようにも、彼の強靭な肉体にしなだれかかることしかできない。
されるがままに、何度も何度も、角度を変えて深い口づけを重ねられる。
どれほどの時間が経っただろう。
薄暗い部屋の中、静まり返った寝室に
ピチャ、という淫らな水音が響き、ようやく彼の唇が名残惜しそうに離れた。
「ふ…はっ……ぁ、あ……っ♡♡」
私は激しく息を乱し、酸素を求めて胸を上下させた。
信じられない思いで、私を組み伏せている彼を見上げる。
「い、いきなり、何するの…叶人くん……っ」
激しい羞恥と混乱で涙目になりながら叫ぶ私を
叶人くんは前髪の間から覗く、独占欲に満ちた瞳で見つめ返してきた。
「男がさ、好きな女の部屋に入って、ベッドまで送り届けて、何もせずに大人しく帰るわけないでしょ?」
「え……っ」
コメント
2件
おいおい、なんなんだ!最高じゃないか 心に刺さってしまった...𝑳𝑶𝑽𝑬