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翌朝、ユリエはカイを木の前に連れてきた。
「越えて」
カイは目を見開いた。
「君は……この木の呪いを知らない」
「知ってるよ」
ユリエは言った。
「守るって、縛ることだって」
風が吹いた。
木の葉がざわめく。
ユリエは一歩、木の向こうに出た。
何も起こらない。
次に、カイが足を出した。
その瞬間、木が軋んだ。
痛みではない。
別れの音だった。
木の幹に、初めてひびが入った。