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第10話「大切、の意味」
───「月蝕」コロシ屋組織にて。
碧斗「ん〜……。」
ソファに座りながら、何やら書類を眺めている碧斗。
その隣では――
彗音「……(*´༥` *)ŧ‹”ŧ‹”」
彗音「……飴、美味しい。」
カラ、と飴を転がしながら、彗音は碧斗を見る。
彗音「ねぇ、何かしてるの?」
碧斗「おっ!?よう気づいたな〜」
彗音「いいから。答えなさい。」
碧斗「実は今日、新たに仲間が増えるんよ〜。」
彗音「新人?」
碧斗「せやせや」
碧斗「それなりにええ子を採用しといたからなぁ〜仲良うしてやってな?笑」
彗音「……強い人?」
碧斗「うん。強いで。」
碧斗「色んな意味でな。」
彗音「…………。」
碧斗「まぁ、裏方にもおるから……別にええんやけどな。」
碧斗「お兄さん以外、まだ誰も知らんけど。」
彗音「……それ、仲間って言えるの?」
碧斗「細かいこと気にしたら負けや。」
彗音「…………。」
その時――
ガチャ。
??「失礼しま――」
ゴンッ!!
??「あでッッ!?」
青年は扉の上部に思いっきり頭をぶつけた。
彗音「……。」
碧斗「…………。」
碧斗「ッッwwwwwwwwwwww」
碧斗「あーやべぇ!!腹筋壊れるわwww」
??「笑いすぎですよ……。」
碧斗「だってwww」
碧斗「登場シーンでそのポンコツ行動するやつおらんてwww」
??「…………なかった事にしといてください……。」
碧斗「無理やって!!」
??「……(´ρ`*)コホン。」
青年は何事もなかったように姿勢を正す。
??「改めて自己紹介するね。」
??「俺は御影叶多。」
叶多「年齢は16で、小学生の頃から中学までは護身術を習ってたよ。」
叶多「どうぞ、よろしく。」
彗音「……。」
碧斗「んじゃ、お兄さんらの自己紹介からやな」
碧斗「まずはようこそ『月蝕』へ」
碧斗「人数は少ないかもやけど、それぞれすんごい能力を持っとる奴らしかおらんからな。」
碧斗「ここは『稀』と呼ばれることもある。」
叶多「……『稀』?」
碧斗「せや。」
碧斗「まぁ、その話はまた今度するわ」
碧斗「気になったらいつでもお兄さんに聞いてくれてええから笑笑」
碧斗「まずは俺から…俺は七瀬碧斗。まだまだ20歳で若いんやで〜??」
碧斗「んで、一応ここの当主として働いとる。」
碧斗「すごいやろ〜?」
碧斗「褒めてもええんやで〜??」
彗音「…………。」
叶多「……(;¬∀¬)ハハハ……。」
一ノ瀬ルナ
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フユめん
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碧斗「酷いなぁ!?お兄さん悲しっ!」
彗音「次、私ね。」
碧斗「はい、どうぞ〜」
彗音「私の名は彗音。」
彗音「ここの次期支配者。」
叶多「うん、よろしく。」
叶多「碧斗さんと彗音ちゃん……で良かったよね?」
碧斗「うん。呼び方はなんでもえーよ笑」
叶多「じゃあ、碧斗さん。彗音ちゃん。」
彗音「…………。」
碧斗「ほな、これから仲良うしていこか〜!」
叶多「うん。え、な、何か言えばいい……?……えっと」
碧斗「…………。」
叶多「……え?」
碧斗「ッッwwwwwwwwwwww」
叶多「ちょっと!?」
碧斗「やっぱ叶多くんおもろいわww」
碧斗「気に入ったわwww」
叶多「…………は、はぁ……。」
彗音「良かったじゃない。」
彗音「あの人に気に入られて……あの人に気に入られれば、こっちのものよ。」
叶多「そうなのかぁ……??」
叶多「……(まぁ、面白いし。)」
叶多「(ここでやっていけそうだから、いっか。)」
叶多は苦笑しながら頭をさする。
───
しばらくして。
彗音「……行ってくる。」
叶多「え、待ってよ。何処に行くの?」
彗音「ルーティン。」
叶多「ルーティン??」
叶多「……一人で?」
彗音「当たり前じゃない。」
叶多「危ないよ?」
彗音「…………。」
叶多「もう暗いし。」
叶多「彗音ちゃんを狙う輩がいるかもしれないんだよ?」
叶多「怪我しちゃったら……碧斗さんも。」
叶多「俺も嫌だよ」
彗音「……御影さんには関係ない。」
彗音「私はそんなヘマしない。」
彗音「すぐ戻るもの。」
叶多「…………。」
叶多「そうなら……いいんだけど……。」
叶多「すぐ戻ってきてね??」
彗音「…………。」
叶多「あ、でもこれ」
叶多「持ってて欲しいな〜?」
彗音「何これ。いらない。」
叶多「これは別に怪しいモノじゃないから大丈夫だよ?」
彗音「…………。」
叶多「何かあった時のために……さ。」
叶多「それは対策だよ?対策!」
彗音「……分かった。」
叶多「…ありがとうね(^ω^)ニコニコ」
彗音「…………。」
彗音はそれを受け取り、外へ出ていった。
ガチャ。
扉が閉まる。
碧斗「…………。」
碧斗は叶多を見る。
碧斗「……叶多くんさ。」
叶多「ん?」
碧斗「お前、結構重いなぁ。」
叶多「そう?」
碧斗「そうや。」
叶多「でも、仲間でしょ?」
叶多「だからこそ守りたいものじゃないか」
碧斗「……まぁ、せやけど」
叶多「ならいいじゃん。」
叶多「…………。」
叶多は閉じた扉を見つめる。
叶多「……あの子は俺のなんだから((ボソッ…」
叶多「…………守んないと。((ボソッ…」
碧斗「…………。」
───
一方。
夜道を歩く彗音。
彗音「…………。」
月蝕に入ってからも続けているルーティン。
一人で歩きながら、静かに夜の街を眺めていた。
そして――
気づけば、少し先に人影があった。
結翔「大丈夫か?」
彗音「…………?」
見ると、結翔が転んだ子供に手を差し伸べていた。
結翔「ったく、気をつけないとダメだぞ〜?」
結翔「ほら、立てるか?」
子供「……うん。」
結翔「よし。」
結翔「え、家分からない!?じゃあ一緒に行くか……」
子供「ありがとう……お兄ちゃん。」
結翔「いいってことよ笑」
結翔は笑った。
その笑顔を見た瞬間――
彗音「…………。」
胸の奥が、ズキッと痛んだ。
彗音「……っ。」
───何?
今の感覚。
見たことがある。
そう思った。
けれど、誰なのかは思い出せない。
ただ――
ひどく懐かしい。
そんな気がした。
結翔「……?」
結翔が彗音に気づく。
結翔「あの、ここ街灯少ないから、気をつけてな」
結翔「あ、急に話してごめんな……?」
彗音「……!」
彗音「謝らないで」
彗音「貴方は悪くない」
彗音「心配してくれたんでしょう?」
結翔「まぁ……そうだな」
結翔「最近、ここの街、治安が悪くてさ……危ないと思って……」
結翔「なので、早めに明るいところに行った方がいいぞ……それでは俺はこれで」
結翔は軽く頭を下げ、その場を離れていく。
彗音「…………。」
数歩。
数十歩。
結翔の姿が遠ざかっていく。
彗音「…………。」
胸の奥に、何かが引っかかっている。
彗音「…………!」
その瞬間――
頭の中に、一つの光景が浮かんだ。
───泣いている子供。
───幼い自分。
───そして、その子供の前にしゃがみ込む姉。
奏音「大丈夫よ。」
幼い彗音「……お姉ちゃん?」
奏音は優しく笑っていた。
奏音「いい?彗音。」
奏音「人は困ってる時に、人に頼れない生き物なの。」
奏音「だから、目にしたらすぐ助ける。」
奏音「それは、すごく立派なことなのよ?」
幼い彗音「…………。」
奏音「自分がした優しさは、きっと自分に何か幸運をもたらしてくれる。」
奏音「だから――優しくすることを怖がらなくていいの。」
───
彗音「…………。」
目の前には、もう結翔はいない。
彗音は自分の胸元に手を当てる。
彗音「…………。」
彗音「(これは、何?)」
彗音「(どうして……あの人を見たら、こんな気持ちになるの?)」
彗音「(私は……何かを知っている?)」
思い出せない。
けれど、確かに残っている。
あの笑顔。
あの優しさ。
そして――
どこか懐かしい、あの感覚。
彗音「…………。」
───消された記憶の奥で。
忘れていたはずの「大切」が――
少しずつ、輪郭を取り戻し始めていた。
コメント
1件
第10話、読ませていただきました! 新キャラ・叶多くん、登場シーンでいきなり頭ぶつけるの、思わず笑っちゃいました😂碧斗さんとの掛け合いも軽快で、早くも良いコンビ感が出てますね。 そして何より、彗音が結翔さんを見た時の胸の痛み…「ひどく懐かしい」という感覚、すごく繊細で美しい描写でした。姉・奏音さんの言葉が蘇るラストも、じんわりと切なくて。彗音の“消された記憶”の輪郭が、これからどう描かれていくのか、とても気になります!