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せっかく完成した湖。
スコルにも新鮮な水を飲んで貰った。
「……おいしいです! これなら飲み水は困りませんね」
「ああ、生活用水は気にしなくていいな」
飲み水だけでなく、料理や風呂にも使える。これは大きいぞ。てか、ここまで水が大切だとは思わなかった。帝国時代、どれだけ恵まれた環境に置かれていたのか実感した。
とにかく次のステップへ。
このままどんどん便利にしていくぞ。
……と、その前に腹が減った。
ぐ~とお腹を鳴らすと、スコルも同時にお腹を鳴らして押さえていた。
「……お腹、空きましたね」
「そうだな、今のところラズベリーだけしか食べられていないし……モンスターとかいないのかな」
「モンスターですか?」
「ああ、イノシシ系とかいればなぁと思ったんだ。肉が食べられれば腹もかなり満たせるからね」
「そういえば、森の奥からモンスターの気配がするんですよね~」
「スコル、そういうの分かるのか」
「ええ、ある程度ですけどね」
聖女だから? う~ん、まあでも森の奥か。探検してみるのもいいもしれない。俺はまだこの無人島を歩いて回っていないし、詳しく知っておく方が後々にも都合が良い。
「じゃあ、狩りへ行くか」
「分かりました。回復はお任せくださいっ」
決まりだな。
この無人島の一番大きな山の方へ向かう。そこが森の奥であり、モンスターの生息も多いようだ。
湖から少し歩いていくと薄暗い森の中。冷たい空気が肌を撫でる。……なんだか嫌な予感がするな。
「一応聞いておくが、スコル」
「はい、なんでしょう」
「回復魔法以外は何が出来る?」
「応援……くらいなら」
「は? まて、お前、エルフで聖女なんだろ!? エルフなら攻撃魔法くらい使えるだろ!?」
「……うぐっ」
うぐっって、オイオイ。
なんか顔が引きつっているし、汗もダラダラ出ている。まさかコイツ……!
「おい、スコル。お前まさかヒールしか出来ないのか?」
「うあああああああああああん……!!」
いきなり泣き出したし。
「嘘だろ? エルフなのに!?」
「ち、違うんです。……その、魔力が足りなくて使えないだけなんです」
「ヒールは使えて、他のは使えないと?」
「……はい。わたしが覚えているのは『ヒール』と大魔法が四つです。火属性『ソーラーフレア』、水属性『メイルシュトローム』、風属性『テンペスト』、地属性『アースクエイク』というヤツですけどね。あまりに消費魔力が膨大なので発動できなくて……」
どうやら未熟すぎて、その領域に到達出来ていないらしい。もっとレベルアップしていかないとダメか。俺も人の事は言えんけど。なんて話していると、森の奥からモンスターの気配が……! やっべ。油断していた。
『――ブギィィィィィッ!!!』
しまった。イノシシモンスターが突進してくる……! どうする、俺!