テラーノベル
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サンゴの言葉が終わる前に、会長まで手を差し出されたので、また手を取って握手をした。
「あなたが精神的にも、企画指導も全て助けてくれたと……。本当に何と感謝をしていいのやら……。あ、ありがとうございます」
ご老体が涙声になると、威力が凄まじい。そのまま、また頭を下げられると、社長も並んで頭を下げられた。
「えええ?か、会長!!?社長!!どうか、お顔を上げてくださいませ!!」
頭の中ではてなマークが飛び交っているサンゴの前に、壇上から戻ってきたリュウジが現れた。
そして、会長の手をすっと引いて、サンゴの前に立ちはだかった。
「父さんも、じいちゃんもやめてよ!!サンゴ先輩何も知らないから、びっくりしてるよ」
「お前、社会人のくせに、公衆の面前でじいちゃんとか父さんはよしなさいと、あれほど……!!!」
社長が大慌てで、リュウジを制していた。
「じ、じいちゃん???!!!父さん?!!」
サンゴは目の前の事実に、泡を吹いて倒れそうになるほど驚いた。血の気が引いくのを、何とかやっとの思いで、根性で立っていた。
(嘘でしょ?オクスフォード大出たって言ってた社長の息子さんって、リュウくんのことだったの?)
超絶セレブで、すごい学歴の若者を捕まえて、自分は今まで一体、何をしてきたのだろう?やってきたことを少し思い返すだけも、頭痛がしてきた。
(私のバカバカバカ!!)
サンゴがパニックになっている横で、リュウジは悠長に会長と社長に捲し立てていた。
「呼称なんて誰も気にしてないよ。それより、どうして二人が急に色々勝手なことしてんだよ。なんで先輩のこと触ったの?ありえないんだけど」
リュウジはサンゴの方へ振り向いて、大事そうに彼女の手を握った。
「先輩大丈夫?急におっさん達に手なんて握られて可哀想に。ああ!真っ青な顔してる!!気持ち悪かったでしょ?セクハラで訴えようね」
「………!!や、やめて……何言って……」
サンゴが慌ててリュウジの言葉を遮ろうとすると、社長も彼に抗議していた。
「心外な!俺や会長に向かってセクハラだと!!?」
「父さんてば!世間知らずすぎる!!このご時世、恋人と子供以外は若い女の子に指一本触れちゃダメなんだよ!知らなかった?加齢した男なんて不快なんだから。不快以外のナニモノでもないんだから!家族の俺が教えてあげてるだけでもマシだと思ってよ」
「た、確かに……申し訳ない」
「すまんのう、嫌な思いをさせてしまって」
会長と社長が交互に申し訳なさそうな表情でこちらを見ていた。
「め、滅相もございません!」
サンゴはすぐに両手をリュウジから離して、胸の前で振りまくった。
「リュウくんってば、会長と社長に対してなんてこと!!!
私の声を聞いて、社長はほっと胸を撫で下ろす。
「よかった……」
「ちょ、ダメだよ。社長だからって。先輩に触ったら俺が怒るから。二人とも指一本触れないでよ」
「うう……」
「まあ、お前に言われたら仕方ないが……」
孫や息子に厳しく叱られて、肩をすくめていた二人はそれでも、本当に嬉しそうな笑顔のままだった。
「有村さん、今度、ぜひ我が家にも遊びにいらしてください。もうずっと長いこと、家内が本当に会いたがってるんですよ。本当にずっと、感謝をお伝えしたいと話しています」
「は、はあ。ありがとうございます。ぜひお伺いさせていただきます」
社長の恐れ多いお言葉に、サンゴは自然と低姿勢になって頭を下げた。
「よかった。日程は秘書の方に連絡しておきますね」
社長は、リュウジの向こう側からサンゴの方へ笑顔を向けた。
「ははは。楽しみじゃな。ああ、これは孫の顔を見られる日もすぐだな!」
会長の声に、リュウジがすかさずツッコミを入れた。
「ああ、じいちゃん。それを今はマタハラって言うんだぞ?」
「何だそれは」
「妊娠とか出産に関するハラスメントの一種だ」
「何もできないな!!」
「そうだよ、今は余計なことは何もできない世の中なんだよ!!!本当に昔の人は!!」
「そうかそうか、ワハハハ」
グループの大きな集まりや会報誌でしか見たことなかったすごい人達の、あまりにもアットホームなやりとりに、サンゴの頭はパニックのまま思考停止していた。
(もうほぼ、何も頭に入ってこない……)
笑顔の歓談が終わり、高級スーツの男性集団が、全員去っていった後。
リュウジはサンゴの手を取って、椅子のある壁際へ連れていった。
「ごめん、驚かせちゃって」
「い、言ってよー!!先に!!そう言うことは……」
「全部倒置法……」
「そっちこそ」
(大口案件の後出し……)
パニックのままのサンゴに、リュウジはお水を取ってきてくれて、手渡してくれた。
一口飲んで、大きく深呼吸する。
「ふうう」
「落ち着いた?」
「うん!もう、びっくりしたよ!!会社の人に内緒なの?」
「先に話しちゃったら、みんなも、先輩もドン引きしてたでしょ?」
「うーん、わからないけど」
(確かに、みんなも、私も気を使って、こんなに仲良くできなかったの……かな……?)
「でも、もともと頭もよかったんだね。私の手助けなんて、いらなかったんじゃ……」
「ほら。こんな感じになりそうでやだったんだもん。今までみたいに手取り足取りお世話焼いてよー。俺、一人じゃできないこと多いでしょ?」
「えー?」
「場所変えて話す?」
「……」
「ちゃんと、サン先輩と話したいことあるな」
リュウジの甘えたような声と、真剣な瞳を見て、サンゴはこくんと頷いた。
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コメント
1件
ああもう、この回めっちゃ良かった…!!リュウくんがまさかの社長の息子&会長の孫ってオチにはマジでやられたわ。しかもそれを隠してた理由が「気を使われるから」っていうのが彼の人間性出てて好き。サンゴ先輩が泡吹きそうになるのも分かる。でも何より親子&祖父とのアットホームなやり取りが面白すぎて、高級スーツ集団なのにギャップ萌えした。そして「サン先輩と話したいことがある」って…次回が待ちきれん🔥