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sideアリア
どれだけ月日が経っただろうか…?
私はまだ生きていた。
とは言え、真っ暗でカビ臭い牢獄の中である。
来る日も来る日も、硬いパンと不味いシチューを食べ、それでも私は生き残っていた。
20年は出られる事は無い。
そう聞いた時絶望しか無かった。
私に残された感情は2つ、怒りと憎しみだけだった。
あの女とあの男を八つ裂きにする。
その一念で孤独な牢獄をなんとか耐えていた。
そんな中、誰も入って来られないはずの地下牢に、僅かに人の気配がした。
牢屋の番人か?
いや、昼食にしてはまだ早い。
『アリア=スーベルシアですね?』
黒のローブに黒の頭巾を被った男がそう尋ねた。
スーベルシア…
以前はそう呼ばれていた事もあったが、すでに父母とは絶縁している。
「…誰なの。」
私はそう呟いた。
『私は隣国スターシャの宮廷魔導士です。
あなたを牢獄から出すべく、宮廷から派遣されました。』
その男は意外な言葉を口にした。
ここから出られる…!?
「何が目的で私を助けるの…」
私は喜びを抑え、警戒しつつもそう言った。
『詳しくはスターシャの宮廷でお話しましょう。
彷徨う風よ。
時空を超える天風よ。
我が命に従い、我らを転移させたまえ。』
彼がそう言った途端に、風など吹かないはずの牢獄に突風が吹いた。
そして…
私は牢獄から脱出したのだった。
♦︎
sideシャンク
その日、ゼルゼディスの結界で平和になった王都を満足気に眺めながらワインを飲んでいた。
すると、ドルモッドが至急謁見したいようです、と伝言が入った。
ちっ、良い気分で飲んでいるのに…
しかし、俺は王としての責務も果たさなければならないのだ。
王の間に向かうと、ドルモッドが既に頭を下げて立っていた。
「何用だ、ドルモッド?」
俺は声をかける。
「はっ!
恐れながら申し上げます…!
牢屋に投獄していたアリア=スーベルシアが脱獄した模様です…」
ドルモッドは言う。
「何だと!?
アリアが脱獄!?
馬鹿者!
なぜ、ちゃんと見張っておかぬ!?」
俺は言う。
「申し訳ございません…!」
「しかし、どうやって脱獄すると言うのだ?
あの牢獄は誰も鍵を持っていない地下にあるのだぞ?」
俺は言う。
「それが…
どうも転移の魔法を使った者が逃したようなのです。
そして、牢屋の側にはスターシャの紋章が入った腕輪が落ちておりました。」
ドルモッドが言う。
スターシャ…!?
不味いぞ…
ライランはスターシャの宮廷魔導士だったのだ。
アリアにライランを殺した犯人を吐かせたいのだろう…
そして、おそらくアリアはあっさりと喋るだろう…
そうしたら…
俺の心に不安が渦巻いた。