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「どんな幸せ?」
僕は問いかけた。
「さぁ、どんな幸せだろうね?」
頭に?が浮く。どんな幸せだろうね?
僕は質問したはずだったのに。
疑問文で帰ってきた。
でも、確かにそうなるかもしれない。
僕にとっての幸せをこの人が分かるはずない。
「君が幸せだと思うことをしよう。」
「分かった。」
そう応えると僕は急に舟から落とされる。
考える暇もなく僕の口は水でいっぱいになった。
苦しい。助けて。なぜ。落とされたのか。
意識が遠のく中、
たった一つ言葉を投げかけられた。
「大丈夫」
すると僕は目を覚ました。
現世に戻ったのか確認するため、
僕は体を動かそうとした。
体は動いている。
そうか、現世には戻れなかったんだ。
そんな都合のいい話はあるわけない。
「目覚めたかな?」
聞き覚えのある声に僕は少し体を跳ねさせ、
声が聞こえた方を見上げる。
「現世には戻れなかったんじゃ?」
「戻れたよ。」
戻れた?体は動いているのに、
「生まれ変わったんだよ。君は。 」
生まれ変わった…?本当に?
すると、 証明するようにその人は 僕の頬をつんと指で指す。
触られた感触がある、
微かに爪の痛さが頬から伝わる。
夢じゃない。
「君は高校1年生、ごく普通の高校生だ。
私は君の幼馴染としてこの世に居る。」
高校生?…
すると元からこの世にいたかのように僕の脳内にこの体の人生の記憶が入ってくる。
「君の脳に記憶を入れてみた。どう?」
「僕は…揺不?」
「そう。私の事は覚えてるよね?」
元の記憶を保持しているため、
しっかりとこの人を覚えている。
元の記憶では知らなかった、
この人の名前を覚えている。
幸 凪不那
でも、理解しているのは、
この人の名前は凪不那では無いこと。
だってここは新しく作られたのだから。
僕の名前が違うのだから。
この人も名前は偽物なのだろうと。
「じゃあ、学校に行こう? 」
「わかった。」
そうして、
先程まで玄関で靴を履いていた体を立たせる。
「手、繋いでみるかい?」
その言葉に少しドキッとする。
生前…と言うよりかは、前の人生では、
女性とは関わりが少なかった事や、
恋愛経験が無かったため案外ちょろいのだろう。
そんな言葉だけにドキッとしていることが、
何よりの証拠だ。
「うん。 」
.
子供のような言葉を返して、私の手を取る揺不。
可愛いと思ってしまっている。
この子を幸せにしてあげたい。
でも、人を蘇らせるなんて、
私がしていい事じゃない。
でも何か、この子を助けてあげたかった。
幸せを見せてあげたかった。
何か懐かしい気持ちがあったから。
.
先程まで言葉を投げかけてくれたその人は、
何か考え事をしているのだろうか?
何も話さず歩いている。
繋いでいる手は暖かく、安心感がある。
「あの、なんて呼べばいい?」
.
揺不は私の名前が凪不那では無いことに気づいているのだろう。
だからこそ、
どう呼べばいいか聞いたのだと思う。
「私の事は、凪不那って呼べばいいよ」
「わかった。凪不那。」
「うん。その調子」
.
そんな事を話して、体の動かし方にも少し慣れてきた頃、学校に着く。
行ったことのない学校なのに、
行ったことのあるような学校。
下駄箱から上履きを取り出す。
「え? 」
上履きには画鋲が入れてあった。
一歩間違えれば足裏に穴が空くところだった 。
画鋲を全て取り出したことを確認し、
その人が少し先の階段で待っている為。
急いで駆け寄る。
「遅かったね?」
「少し、分からなくなってた」
「行こっか」
「うん。」
階段を1段、2段、と上がっていく。
少しこの記憶には違和感がある。
所々抜けているのだ。
そんな事を思っていると階段を登り終え、
2階に着く。
教室の場所は、しっかりと記憶にある。
そうして教室に入る。
先程まで廊下に聞こえていた話し声からは、
想像の出来ない程の静けさが。
教室の扉を開けた途端僕を貫く。
皆がこちらを見ている。
「お…おはよう。」
声を掛けると。
1人が無言でこちらに来る。
仲がいい子なのかと思っていると。
え?…
痛い。何をされた?
口が切れている、血の味がする。
鼻から液体が滴っている、床に赤い液体が着く。
鼻血だ。なぜ?こんなにも頬が痛い?
なぜ?
「気色悪ぃ、なんで平然と入ってきてんだよ? 」
先程こちらに歩み寄っていた1人が見下しながら言葉を吐く。
気色悪い…?どうして?挨拶をしただけだ。
学校って、挨拶して、毎日当たり前のように行くものじゃないのか?
どうしてだ?どうして…殴られた?
「てか、画鋲。入ってんのによく履けるな。」
画鋲、先程入れられていたやつだ。
心配されているのか?それとも、いじめなのか?
すると先程まで横で少し驚いたように黙っていた
凪不那が口を開く。
「やめてあげて。」
「あ〜?凪不那、お前こいつの肩持つのか?」
「やめてあげてよ。」
「まぁお前の頼みならいいけどよお?」
すると凪不那はこちらに手を差し伸べる。
.
殴れていた。揺不が。
怒りを抑えるのに必死で、口を出せなかった。
守れなかった。
揺不が生まれ変わった体の主は、
いじめられていた。でも、
この体しか、揺不が適合出来なかった。
幸せを見ることが出来ないと予測したから。
そうして手を取る揺不を立たせ、
揺不の体の埃をはらう。
揺不の鼻からは鼻血が出ている。ポケットティッシュを取り出し、ぽんぽんと血を拭き取る。
我慢してね。揺不、必ず幸せを見せるから。
.
痛い、鼻血を拭き取っている凪不那を見ながら
痛みに耐える。
どうして?幸せになるんじゃないのか。
でも…凪不那の顔を見ると少し悲しそうだった。
嘘は着いていなさそうなのだ。
でも、これは幸せじゃない。
幸せは…程遠い物なのか?
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どうだったでしょうか?
頭痛が酷く、少し文がおかしいかもしれません。
もし気に入ってくれればいいねをお願いします。
また次回も作ろうと思っているので、
良ければフォローもお願いします。
次回「耐える事。」
お楽しみに。