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幸せは…程遠い物なのか?
そうして放課後にまで時間は進んだ。
長かった。1分が何倍にも感じた。
あれから、先生らしき人が来て、
授業を受けた。
授業と言っても、
内容なんか頭に入っていない。
授業中には隣の席の人に足を蹴られ、
紙を丸めて投げてきたり、
後ろのやつにはひたすら背中を蹴られた。
授業が終わる事に教室の隅まで追いやられ、
髪を掴まれたり、胸ぐらを持ち上げられたり。
挙句何度か殴られた。
そんな繰り返しで、痛く苦しく。
幸せな学校生活が遅れると思っていたのに。
これじゃ、前の人生より辛いじゃないか。
.
放課後、揺不の髪は乱れ、制服には埃がつき、
足跡のような埃も着いている。
きっと蹴られたのだろう。許せない。
一緒に帰っていて気づく。
揺不が片足を少し引きずっている。
痣だろうか?それとも膝…足首?
どこかしら痛むのだろう。
無理もない、
見てない私ですら気づくいじめの後。
先生もきっと気づいていて気付かないふりをしているのだろう。
揺不には荷が重すぎるかもしれない。
耐えれるのだろうか、
耐えて欲しい。そして幸せを見せてあげたい。
でも、きっと生前よりキツく苦しく思っているだろう。
病院生活では、いじめなどはされずただ虚無な時間を過ごしていた彼に、初めての学校という場所でいじめが起きているのだから。
きっと何倍も辛いはずだ。
そうして家に着く。
そのまま揺不の家の玄関に二人で入る。
靴を脱ぎ、リビングへの扉を開ける。
.
疲れた。
痛いし、
口、鼻、頬、腹、足、腕。
全てが痛い。
その痛さに耐えてここまで歩ききった。
疲労と共にソファに倒れるように座る。
凪不那が前に来て、消毒をしてくれている。
染みる。けど、その優しさが暖かい。
凪不那は悲しそうに、
心配そうに怪我や痣を見つめている。
心配してくれている。
凪不那が僕を。
それだけでも、
前の人生よりは幸せなのかもしれない。
いや、でも、幸せなんて無い。
また明日も同じような事をされるはずだ。
いじめというものは1日で終わるものじゃない。
病院でニュースを垂れ流されいや程自殺など聞いてきた。
その辛さが今わかる。
その時なんて、
そんなくらいで自殺するなとか、
どうせ僕より辛くない。
など勝手な妄想や偏見で見下していた。
これを耐えて耐えて死ぬ。
なんて最悪だろう。僕の人生なんて、
比にならないくらい軽いのだ。
僕が1番辛いと思っていた、
僕以外は辛くないなど思っていた事もある。
馬鹿馬鹿しい。よっぽど辛い思いをしているからこそ自殺などをしているのだろう。
その人の立場になって考えないと分からないものだ。
それを僕は分かろうとしなかったのだ。
決め付けで判断し、挙句見下していた。
あぁ、僕なら1週間も耐えられないな。
すると、消毒が終わったの凪不那が口を開く。
「大丈夫?」
「うん。平気」
.
平気なはずがない。彼は痛みに耐え、
私を気遣っているのだろう。
申し訳ない。不甲斐ない。幸せを見せるはずが、
こんなにも苦しい思いをさせた事に。
.
凪不那は横に座って手を繋いでくれている。
なぜだろう。繋ぐ必要はあるのだろうか?
少しでも安心させてくれているのだろうか。
確かに彼女の手は暖かく、 安心する。
「凪不那。」
「どうしたの?まだ痛む?」
急に呼んだことに驚いたのか、
彼女は少し方を跳ねさせた。
そして、気遣いの言葉も掛けてくれている。
「呼んでみただけ。」
ただこの時間が好きだ。
少し幸せかもしれない。
彼女の顔を見ていると少し心が和らぐ。
こちらを見て微笑んでくれる。
こちらの目を見てくれている。
「何それ。」
彼女が少し笑みを浮かべ応える。
あぁ、可愛い。
可愛い。か…何気なく思ったが。
少し、彼女の事が好きなのかもしれない。
ただこっちを見てくれているだけ。
ただ微笑んでくれるだけ。
ただ心配してくれる、気遣ってくれる。
そんな事だけでも惚れているのだろうか。
程遠く思っていた幸せはこの時間だけ少し近づいているのだろうか?
僕はやはりちょろいのだろう。
こんなことだけで幸せが近づいた等思っている。
彼女に惚れかけているのだから。
.
少し彼の表情が和らいだように見える。
痛みが治まってきたのだろうか。
だといいけれど。
彼の言葉は可愛らしく、守ってあげたくなる。
呼んでみただけ、そんなの可愛いじゃない。
だからこそもっと守りたい。
幸せを見せてあげたいのだ。
この子に笑って欲しい。
いつか絶対に笑って欲しい。
この子の笑顔が見たい、嬉しそうな所がみたい。
.
でも。明日もこうしていたいのらば、
明日もいじめを耐え、
痛みと共に家に帰らないと行けない。
じゃないと幸せを身近に感じる事が出来ない。
いや、逆に考えるんだ。
自殺する人は相談相手や共感者、理解者が居なく何にも頼れず自殺を選ぶ人がいる。
僕には凪不那がいる。小さな、ほんの小さな幸せでも身近にあるのだ。
だからこそいじめを耐えれる。
その為に耐える事ができる。
自殺するほど辛くないと思えばいいんだ。
耐えればいいんだ。
ただひたすらに。
耐えれば。
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また次回も作ろうと思っているので、
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次回「辛の先は幸。」
お楽しみに。