テラーノベル
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楽屋の空気が、少しずつ変わってきている――こさめ自身も、それを感じていた。
いつもと変わらないようでいて、視線の奥にある“揺らぎ”が、気になって仕方なかった。
その日も、撮影がひと段落して、楽屋でひと息ついていたとき――
🎼🍵「こさめちゃん、今日もおつかれさま〜。
……ちゃんとごはん、食べれてる?」
🎼☔️「……うん。だいじょうぶ。お昼におにぎり食べたから」
🎼🍵「ふふ、そっか〜。でも最近、ちょっと顔色よくない気がしてさ。
俺、ちょっと心配なんだよねぇ」
すちが、ふわりと笑って隣に座る。
🎼☔️「……こさめ、ちょっと寝不足なだけ、だよ」
🎼🍵「うーん、そうかなぁ……?」
首をかしげる仕草は、相変わらずやわらかい。
でも、笑顔の奥にある“何か”が、鋭くこちらを見ていた。
🎼🍵「こさめちゃんさ、このあいだ、楽屋で倒れちゃったでしょ?」
🎼☔️「……っ、うん」
🎼🍵「そのときね……すこーしだけ、においがしたんだよねぇ。
……俺、Ωでもαでもないけど、こさめちゃんのにおいは、ちょっとだけ……わかるんだ」
🎼☔️「っ……すち、くん」
こさめの指が震えた。
フェロモン抑制剤を飲み忘れたあの日――
誰にも気づかれなかったと思っていたのに。
🎼🍵「ねぇ、こさめちゃん。
なつさんに……なにか、されてる?」
すちの声は静かだった。
でも、逃げ場のない優しさが、じわりと心にしみる。
🎼☔️「……なにも、されてない。こさめ、だいじょうぶ、だから」
🎼🍵「そっかぁ……。でもね、俺……ちょっとだけ見たんだ」
🎼☔️「なにを……?」
🎼🍵「このまえの現場でさ、こさめちゃんが、なつさんの顔見たとき……
ちょっとだけ、びくってしたの。目が、怖がってるみたいだった」
🎼☔️「……っ」
🎼🍵「俺ね、こさめちゃんが笑ってるとき、ちゃんと嬉しそうかどうか、すぐわかるよ」
優しい声に、喉がつまる。
🎼☔️(すちくん……)
🎼🍵「なにかあったら、俺に言って。
こさめちゃんがひとりで抱え込むの、俺はぜったいイヤだから」
その言葉を飲み込む間もなく――
バタン、と楽屋のドアが開いた。
🎼🍍「こさめ、次の衣装、こっちだ」
🎼☔️「……なつくん……」
なつの声に、こさめは肩をすくめる。
すちはそれを見て、小さく目を細めた。
🎼🍵「お疲れさまで〜す、なつさん。……でも、もうちょっとこさめちゃんと話してたんだけどなぁ」
🎼🍍「時間が押してる。話は後にしてくれ」
🎼🍵「そっか〜。……でもね、なつさん」
🎼🍍「……なんだ」
🎼🍵「こさめちゃんに、変なことしてないよね?」
空気が一瞬で張りつめる。
なつの目が鋭く細められる中、すちは笑ったまま――しかし、その目は曇らない。
🎼🍵「だってね、俺、ずっと見てきたから。
こさめちゃんが“誰の前でどんな顔するか”、ちゃんと覚えてるんだ〜」
🎼🍍「……」
🎼🍵「もし誰かが、こさめちゃんを怖がらせてるなら――俺、絶対、許さないからね」
柔らかな声なのに、そこには不思議な強さがあった。
🎼🍵「じゃあ、俺、着替え見に行くね。こさめちゃん、後でまたね〜」
ふわりと手を振って、すちは出て行った。
その後ろ姿が消えるまで、こさめは目を離せなかった。
🎼☔️「……ごめん、なつくん。こさめ……ちゃんとごまかせなかった」
🎼🍍「……いや、すちの感の鋭さを見くびってた。
あいつ、やっぱりただの癒し系じゃないな」
🎼☔️「こさめのこと、ほんとうに見てくれてる……
だから、余計に……なにも言えない」
🎼🍍「大丈夫。何があっても、俺が守る。
お前は、俺の番なんだから」
そう言って、なつはこさめを抱き寄せる。
その腕のなかは、あたたかい。
でも、どこか檻のようで――
こさめはその中から、一歩も出られなかった。
コメント
2件
初コメ失礼します.ᐟ ストーリー性が面白くてすっかり見入っちゃいました!!笑笑 まさかの🍵くんも?、?! これからも頑張ってください.ᐟ
ら、ライバル?!?! 続き楽しみ!ᵔᢦᵔ