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2件
夏の影聴きながら読ませていただきました🎐ストーリーといい雰囲気といい尊すぎて大好きです
「あっつぅ”〜」
蝉の声がうるさく
夏を彷彿させるようなそよ風が吹いている
「夏だなぁ……。」
時間が経ち、影がどんどんと伸びていくのがわかる。この影が見えなくなったらさよならだから時計代わりに使える。
「俺ね、進路決めたんだ。」
「音楽に関わるような仕事がしたい。」
「ふーん。」
汗ばんだシャツが夏を知らせる。
「じゃ、俺元貴についてこー。」
「いやいや、あなた先輩よ? 」
「学校だって違うのに……」
ゆっくりと、 ゆっくりと
見えない速さで
進んでゆく
「なんでそんな顔赤いの?」
「暑いからだよ……」
夏の暑さのせいにして
「涼ちゃんだってあかいじゃん」
「僕は元貴が好きだからだよ笑」
「うるさっ……//」
ただ 所為にして
火照った心を隠してる
「あ、もう行かなきゃ。」
「どこ行くの?」
「ほら、影が伸びてきたから笑」
夏の影のせいにして
「じゃ、また明日っ!」
また 所為にして
「今日こそ、告白しようと思ったのに。」
涼ちゃんに渡した氷の入ったお茶を家まで運ぶ。氷の原型がない。なぜか切なく感じた。
溶けた氷と時間を紡ぐの
「……ん、あつっ。」
「あれ?元貴じゃんっ!」
「今日は大好きな先輩といないんだ。」
「うるせぇっ」
「しっかしよぉ3年たってるんだぜ……」
「告白するって言ってた夏から。」
「……。」
生暖かい風が夏を示している。
冬の時よりも焼けた肌が空に映えている。
「こんがりやけたな、栗」
「誰が栗やねんっ!」
「確かに同じ色ではあるけどさぁ。」
「元貴だって焼けてんじゃねえかよ。」
「若井よりはマシ。」
「あ、元貴!」
「涼ちゃん!」
「やっほー笑」
「やっほー!」
「ウチくる?若井くんも!」
「一緒に飲もうよ!」
「何それ……」
「バイト帰りに貰ったのよ」
「じゃじゃーん」
「サイダー!余ったからさ。」
「ふっ……涼ちゃんらしいよ笑」
「なっ……//元貴って笑顔可愛いよね笑」
「……//」
「元貴顔赤ーい!」
「うるせぇ若井!暑いだけだし!」
こうやって、素直に笑えるのは
どこまで続くのだろう。
ゆっくりと、 ゆっくりと
「あつっ……」
「てか、若井またでかくなった、?」
「まぁね笑」
「涼ちゃんもでけえけどな」
「……涼ちゃん大学生になっちゃうんだ。」
「はやいねぇ……」
見えない速さで
大人になってゆく
「元貴って可愛いよなぁ」
夏の蝉のせいにして
「……?なんか言った?」
「ごめん蝉の声で聞こえなかった」
ただ 所為にして
『涼ちゃんだって可愛いよ……』
なんていえるかよ……。
胸につかえた言葉は隠れる
夏の影のせいにして
「ちょっと近い近い」
「涼ちゃんだけ影あるとこずるいっ!」
「なこと言ったって……//近いぃ……」
また 所為にして
カランッ
まだまだ溶けないで
コップの氷よ
「……涼ちゃんバイバイ……」
「そっちでも元気でね。」
「あとからそっちに行くから!」
「……元貴、好きだよ。」
「……//」
「1年に3回くらいは帰ってくるから」
過ごしていた
あの夏の思い出は
今でも瞼の裏で生きてる
「元貴久しぶり!」
「涼ちゃん髪伸びてるっ。」
「そうなのー伸ばしてる笑」
「夏になったら暑いけどね」
「涼ちゃんって性格夏みたい。」
「どゆこと……?」
恋をした
その夏に恋をしていた
あの風はどこかで
あなたに吹いていればいいな
「……元貴ー?引越し準備業者さん来てるよ!」
「はーい今行くー母さん。」
『明日そっちに向かうから。』
『楽しみにしてる!』
『道案内とかしてあげるね!』
そうだといいな